小学校英語教育の基礎知識

6年間で差がつくのか?!小学校によって異なる英語学習の実際

小学校の英語教育6年間で、子供の英語力に差はでるのか?

今回のテーマは「小学校6年間で英語力に差はつくのか?」です。

2020年より、小学校での英語授業が必修化。

中学校・高校でも、英語の授業が「(基本的に)英語」でおこなわれるようになります。

では、英語学習の早期化によって様々な変化が生まれてくる中で、わたしたち親は何に気をつけたらよいのでしょうか?

この記事では、

小学校6年間で、本当に英語力に差はつく?
英語・英会話の習い事をはじめるべき?

などの疑問を、スッキリ解消するヒントが得られるような内容になっています。

 

小学校・中学校での英語教育はこうなる

まずは、公立小学校・中学校での英語教育の「基本」を確認しておきましょう。

小学校

全国の公立小学校では「英語」の授業が、以下のようになります。

  • 3年生・4年生
    =週1コマ程度の「外国語活動」
    (年間35コマ)
  • 5年生・6年生
    =週2コマ程度の「外国語」
    (年間70コマの本格的な必修科目)

つまり、3・4年生までは成績のつかない「英語に触れて楽しむ学習」を週1回程度、5・6年生からは成績がつく「読む・書く・話す・聞くの4技能を伸ばすための学習」を週2回程度おこなうことになります。

※2018年・2019年は新指導要領への移行期。3・4年生は年間最低15コマ、5・6年生では年間50コマの「外国語活動」が必須。先行実施の有無・授業回数・教材などは自治体・学校に委ねられている。

中学校

2020年度より、英語の授業は「(生徒の理解力に応じて)すべて英語」で行われるようになります。

また今後は、すべての中学生が「小学校4年間で英語に触れている」ことを前提に、英語の授業が行われます。

つまり、中学校ではゼロから英語を教えるのではなく、小学校で習う英語知識がついているものとして授業が進む、ということです。

 

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小学校6年間でうまれる「3つの差」

中学校から英語を学習しはじめた親世代にとっては、小学校から英語学習をはじめることで、子どもたちの英語能力が飛躍的にUPするのではないかと、期待をもたせてくれる内容かと思います。

しかし、ここで注意しておきたいポイントがあります。

それは、真面目気質の日本人だからこそ生まれる、「意識の差」です。

この意識の差は、「地域・学校」「保護者・親」「子供たち」の、3種類の新しい差を生み出しています。

 

①地域・学校が生む「差」

小学校英語教育のもととなる学習指導要領では、小学校でおこなう英語活動の大まかな指針が記されています。各都道府県(自治体)は、それに沿って学習方針を決め、学校のカリキュラムが決定していきます。

たとえば、

とある公立の小学校では、1年生から週1回の授業を。

とある私立の学校では、音楽・理科の授業はすべて英語で行い、発表も英語で実施。学童で英会話スクールのような取り組みを実施。

指導要領に沿って小学校3年生から英語学習を始めることになっている学校と、自治体の特別区域にしていされて、1年次から英語を学習する学校とでは、明らかに差が生じてきます。

たとえ公立小学校であっても、地域・学校によって英語教育に差がでている、ということです。

 

②保護者が生む「差」

小学校から英語が必修教科になり、中学校では英語で授業がおこなわれると聞くや、英語・英会話の習い事をする小学生、またはこれから習わせたいと思う保護者・親が増えています。

最近では、英会話スクールで「ベビークラス」が開校されるほど、習い事としての英語が人気

英語が習える幼稚園の数も、増えてきているのが現状です。

これはつまり、英語学習の低年齢化が始まっている、ということです。

小学校1年生から6年間「学校で週1回+課外学習で週1回」英語に触れている子どもと、小学校3年生から「学校で週1回」勉強している子供に、差が出るのは当然のことかもしれません。

 

②小学生が感じる「差」

小学校の学年が上がるにつれて、子供は友達との違い・差を意識するようになります。

「友達は英語・英会話を習っているのに、自分は習っていない」という差もあれば、「習い事をしているけど、上手くついていけなくて嫌だ」という劣等感もあるでしょう。

まだまだ「楽しい」ことを優先させたい小学生の時期に、「自分は英語ができない」「英語が不得意だ」と思ってしまうと、英語そのものに苦手意識を持つことに繋がります。

すると、中学生になり、毎日のように行われる英語の授業が辛いものとなり、成績が伸び悩む…という結果を生みかねません。

幼児期・小学校からの早期英語学習は、「英語嫌いな子供」を作り出すことと、紙一重とも言えます。

 

早期教育でうまれる「差」はいつまで有効?

さて、地域・学校・保護者が早期から子どもに英語教育をすすめた場合と、そうでない場合とはでは、明らかな差が生じてきますが、その差はいつまで続くのでしょうか?

神戸女子学院中等部・高等部の林真理子氏は、朝日新聞社が主催した対談の中で「早期英語教育の差は、あまり長くは続かない可能性もある」ことを示唆しています。

本校では中1の最初から、英語の授業は英語のみで行うので、初めのうちは生徒の戸惑いも大きいようです。しかし実際に授業を受けてみると、「意外にわかる」という生徒が少なくありません。そんな小さな感動が自信となり、パスポートさえ持っていない生徒が学年トップレベルの英語力を身につけるような例を何度も見てきました。反対に、幼いころ海外に住んでいて、発音はネイティブのようにきれいでも、子どもの使う語彙やシンプルなフレーズしか身についていない生徒もいます。和田先生のおっしゃったように、貯金はそれほど長く持たないのかもしれません。

朝日新聞デジタル「神戸女学院・灘の英語教育に学ぶ!グローバリゼーションの時代に子どもの英語力をどう育むか」より一部抜粋(http://www.asahi.com/ad/chuko/discussion.html)

小学生のうちに英検2級以上のレベルを習得しているなど、中学校以上の英語力を身につけている場合は例外ですが、「ちょっと人より英語ができる」レベルの場合は、本人の努力次第でいかようにもなる、ということですね。

 

家庭で英語教育をする際に注意すべき「3つのポイント」

そこで、家庭で英語教育をする場合に、親として押さえておきたいポイントは3つ。

  • 子供が直面するであろう「差」を理解すること
  • 英語教育は「子ども主体」に行うこと
  • 子供が英語に興味を持ち、進んで学習できるよう支援してくこと

 

英語教育が低年齢化することにより、家庭でできる英語教育の選択肢が増えています。

子供が小学校・中学校で「差」を感じないように、環境を整えてあげるのは親の仕事の1つかもしれません。

ですが、大切なのは、英語学習が親の押しつけにならないこと。

小学生のうちは、「楽しい」「おもしろい」ことが子供の可能性を大いに広げてくれる時期です。

子供が英語学習に興味を持ち、「英語が楽しい・おもしろい・好き」になるように、子供主体にすることが大切です。

 

親として出来ること…。

このサイトを訪れてくださった皆さんは、少なからず子供の英語学習にご興味がおありかと思います。

小学校3年生からの学習でも、前向きにコツコツと学習したり、興味を持ったことを掘り下げていくことが好きなお子さんは、英会話教室などに通う必要はないかもしれません。

逆に、周りとの違いに敏感になる傾向がありそうであれば、早めに英語に触れる機会を何らかの形で作ってあげるのも一つです。

英語を話すことが当たり前になっていくこれからの世の中で、可愛い子供たちが元気に羽ばたいて行けるように、親として環境を整えていきたいものですね!

今回の記事が、その参考になれば嬉しく思います。