小学生がゲーム機をもつことが、あたり前の時代になりましたね。
公園で遊んでいる小学生がいるな~と思ったら、友達と集まってゲーム。宿題はなかなかやらないのに、ゲームだけは一生懸命がんばる。
小学生がゲーム好きなのは仕方ないとしても、自分の子供がゲームに夢中で勉強がおろそかになると、結構ストレスがたまるものです。
わたしの息子は現在小学校3年生で、タブレットのゲームアプリにはまり中。
学校から帰ってきた息子に、決まって毎日「宿題は?」と声をかけていました。小学校入学時は、「帰宅後すぐ宿題」を習慣化しようと思っていたのですが、うまくいかなかったんです。
そこから、一転!
現在は、朝、学校に行く前に「音読練習」をし、余裕があれば「自主学習」。家に帰ってきたら、積極的に宿題をするようになりました。
☞音読をやりたがらない小学生の対処法
そこで今回は、小学生が上手にゲームと付き合う方法を、学年別に考えていきたいと思います。
小学生が宿題・自主学習をしない理由
積極的に勉強してもらうには、まず子どもの気持ちになって考えてみることが大切です。小学生の子どもが宿題や自主学習をしない原因は、いろいろあります。
☝勉強しない理由
- 学校から疲れて帰ってきて、すぐ勉強をする気分になれない。
- 帰宅時は「おやつの時間」。気がつくとダラダラしてしまう。
- 苦手な宿題形式の日は、やりたくないので後回しになってしまう。
- 友達が誘いにきてくれるので、家を飛び出すようにでかけてしまう。
1~3は、本人が原因です。
勉強の習慣づけは低学年から…とよく言いますが、1年生は学校に慣れるので精一杯。学年が上がるに連れて授業時間が長くなり、中学受験の準備や習い事などが重なって疲労が増加します。また、得意・不得意がでてくると、苦手な教科の宿題はおろそかになりがちです。
4は、環境が原因です。
周りの友達がみな「宿題を終わらせてから遊ぶ」というルールであればよいですが、そうはいきません。平日に子供たちが遊べる時間は、1~2時間程度。最初は「宿題→遊び」と決めていても、なあなあになってしまったりします。
小学生は、さまざまな理由が重なって、勉強よりも「その他の楽しいこと」を優先しやすくなっています。
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小学生が「ゲームの誘惑」に勝てない本当の理由

わが家の息子も、色々な理由をつけては宿題・自主学習から逃げていました。
彼の1番の逃げ場は、ゲームです。
最初は、小学校でがんばって勉強してきたのだから少しぐらいいいか…と思っていたのですが、気がつけば、息子の最優先事項は「ゲーム」になっていました。
ゲームをした後に勉強をしっかりしてくれれば問題ありません。でも、1度始めるとなかなか止められないのがゲーム。先にゲームをやれば、宿題や自主学習が「より面倒なもの」になります。
大人は日々、物事の優先順位をつけて行動することが求められます。よって、いつでもできるゲームより勉強を優先させるのが自然です。
一方、小学生の子供は優先順位をつけるのが得意ではありません。それは、今まさに学校・家庭で「優先順位をつけること」を学習している最中だからです。
日々の学校生活の中で、自分の気持ちだけでなく他人の気持ちも考えること。集団で活動するには、我慢も必要なことを6年間で覚えていきます。そして、今何をするべきなのか、物事の優先順位のつけ方を学びます。
「ゲームよりも宿題・自主学習を先にするべき」という考えは、大人にとっては当たり前でも、優先順位のつけ方を勉強中の小学生にとっては、難しいことなのです。
とくに家庭は自由に行動しやすいので、「家では好きなようにしたい」と甘えが生じます。この甘えに打ち勝ち、自分をコントロールする力を身につけることも、小学期には必要なことです。
では、どのようにすれば、小学生が家庭でも優先順位をつけられるようになるのでしょうか。
小学生がゲームをやめて勉強する方法【1・2年生】
1年生は、学校に慣れること・友達との新しい関係を築くことに忙しい1年間を過ごします。
幼児期と環境がガラッと変わり、初めての行事(運動会・持久走大会・校外学習)で疲れて帰ってくることもありますが、学習が少しずつ本格的になる2年生になる前に、家庭での学習習慣を確立しておくのがベストです。
1・2年生でゲーム機(任天度DSなど)を持っている場合は、「使い方のルール」をしっかり決め、そのルールを親子で守ります。
たとえば、
- 外への持ち出しルールを決める
- 1日のゲーム時間を決め、必ず守る
- 「勉強→ゲーム」の順を徹底する
ここでポイントとなるのは、約束をしたら「親も必ず約束を守ること!」です。ちょっと今日はいいか…と、親が自分の都合でルールを変更してしまうと、子どもは約束を守れるようにはなりません。親が守っていないのに、子どもを叱ったのでは、ますます子どものやる気は削がれていきます。
【1】ゲーム機の「持ち出しルール」を決める
ゲーム機の扱いは、家庭によってさまざまです。
たとえば、
息子の友達A君は、晴れの日は体を動かす外遊びをする日で、ゲームはしません(持ち出しNG)。雨の日は長時間でなければ好きな時間ゲームができ、持ち出しもOKでした。
友達B君は、いつも持ち出しOKで、遊ぶ時間も決まっていません。
わが家はポータブルゲーム機をもっていなかったので、特にルールを決めていませんでした。その結果、B君と遊ぶときは室内にこもってゲームをすることが多くなり、終いに息子は、B君がいなくても長時間ゲームをやりたくなってイライラし始めました。
そこで息子と相談して、友達との関係を考慮しながら「わが家のルール」作り、それを徹底することにしました。わが家の結論は、「晴れの日は外遊び。雨の日はゲーム機を持ってきて遊んでもいい」です。
ここから、友達とゲームの付き合い方を学ぶことができました。
【2】1日のゲーム時間を決める
わが家では、100均で息子専用のストップウォッチを購入し、時間を測るようにしています。
最初は、1年生の算数で「時計の読み方」を習うので、時計で管理をしていました。でも、ゲームに熱中していると時計は見ません。「あと〇〇分だよ~」と声をかけると、親はゲームが気になるし、子どもは親からの注意に過敏になったり、ゲームそのものが楽しめず「もっとやりたい!」となり、逆効果でした。
【3】「勉強→ゲーム」の優先順位を徹底する
「宿題→ゲーム」の順は徹底しましょう。
これは、宿題がゲームよりも重要であるという意識付けになると同時に、優先順位をつける力につながります。
学年があがり、自己管理ができるようになれば、「宿題・自主学習を〇〇時までに終わらせれば、あとは自由」というように、子どもに任せることができます。
ここでのポイントは、やはり決めた約束は親がしっかり守ること。
せっかく子供と一緒に決めても、親が「今日はいいか」と優先順位をひっくり返してしまうと、子どもは「勉強よりゲームを優先させていいこともあるんだ」と思ってしまいます。
子どもは、よーく親のことを見ているんですよね。
小学生がゲームをやめて勉強する方法【3・4年生】
3・4年生がゲームばかりして勉強をしない場合は、1・2年生で「優先順位のつけ方」を理解していなかった、ということになります。
基本に立ち返って「ゲームの使い方のルール」を見直すことが必要です。
ただ、3・4年生ともなると、子どもの自己主張も強くなってきますし、場合によっては「話を聞いているようで、実は聞いていない(理解しようとしない)」ということもあります。
子どもからしてみれば、それまで自由にゲームをすることができたのに、急に「勉強!勉強!」と言われるのはうるさいだけ。それに、勉強がゲームより重要なことは、子どもだって痛いくらい良く分かっています。
この学年は、子どもの意見に耳を傾け、一緒に「どうしたら宿題・自主学習がしっかりできるようになるか」を考えることが鍵になります。
最初からゲームの優先順位を下げるのが難しい場合は、以下のような方法も効果的です。
- 勉強を終わらせる時間だけ決め、時間の使い方は子どもに任せてみる
- 曜日・用事によって予定を立て、表にまとめる
- 勉強した分だけゲーム時間を追加できる「ご褒美システム」にする
【1】勉強を完了する時間だけ決める
「宿題を〇〇時(夕食時間)までに終わらせる」ということだけ決め、あとの順番は子供に任せます。
夕食の時間までに宿題・自主学習を終わらせれば、小学校から帰宅して1番にゲームをしようとも、お菓子をたべようとも、友達と遊ぼうとも自由。
ただし、「決められた時間までに必ず宿題を終えること」、「保護者印が必要なもの・保護者が採点する必要があるものは、その時間までに出すこと」、そして「苦手な宿題形式でもグチグチ文句を言わないこと」を約束します。
そして、約束の時間までに宿題・自主学習を終わらせるには、何時から勉強を始めればよいかを子どもに決めてもらいます。
話し合った結果は、紙に書いて壁に貼るなど「見える化」しておきます。寝る前に、きちんとできたかどうか自己申告をさせて、紙に書かせておくのも良いでしょう。
そして、これを3日間くらい継続し、親子で振り返りをします。
できたら大いに褒め、できなかったら
- どうしてできなかったのか
- 約束を守るにはどうしたらよいか
を子どもに考えさせます。
ポイントは、できていなくても最低3日間は我慢して口を出さないこと。子どもが自分で「自分で決めた約束を守れていないことに気づく」には、1日や2日では足りません。1日目で親が注意してしまうと、「お母さんに怒られたからやらなくちゃ…」と思い、約束した意味がなくなってしまうからです。
【2】曜日・用事によって予定を立てる
小学生の1日は意外と忙しいので、その日の予定によって宿題の時間を変えてみます。
例えば、「習い事がある日」「友達と遊ぶ日」「何も予定がない日」の3種類にわけて、時間を設定するという方法です。
わが家は、こうなりました。
火―〔友達と遊ぶ〕帰宅後すぐ宿題
水―〔習い事〕帰宅後すぐ宿題
木―〔友達と遊ぶ〕帰宅後すぐ宿題
金―〔習い事〕帰宅後すぐ宿題
土―〔予定なし〕18時までに宿題
日―〔予定なし〕18時までに宿題
なぜその時間までに勉強する必要があるのかが明確なので、子どもも受け入れやすい方法です。子どもに予定を表にまとめてもらい、家の壁に貼っておくとより効果的です。
【3】勉強した分だけゲームができるようにする
今度は、思い切ってルールに「ゲーム」を取り入れてみます。
簡単にいうと、宿題や自宅で使っている学習教材(通信講座・市販の教材)をやると、やった分だけ「ゲームができる時間がもらえる」というルールです。
わが家の場合は、宿題は「やって当たり前」と思わせたいので、あえて「自主学習をした分だけゲームができる」ようにしました。
たとえば、
- 自主学習の内容を決める
- 用意した教材の分量にあわせ、ゲーム時間を決める。
・漢字ドリル1回分=15分
・計算ドリル1回分=10分
など。 - やった分の合算時間、子供はゲームを楽しむ。
という流れです。
ゲーム全体の時間を決めても良いし、このルールでゲームの追加時間を決めることもできます。
どうしてもゲームがしたい息子は、友達が来る前でも、習い事の前でも、小学校から帰宅したら一目散に宿題をするようになりました。しっかり勉強さえしていれば親から注意されることもないので、堂々とゲームを楽めることが安心感になるようです。
ただ、漢字ドリルの練習など、時間をかけて丁寧に行いたい勉強は適していません。ゲームしたさに字が雑になったり、書き順がメチャメチャだったり…とデメリットもあります。
一方で、計算ドリルはおすすめ。
「全問正解しないとNG」というルールにしておけば、計算の速度も正確性もあがります。
小学生がゲームをやめて勉強する方法【5・6年生】
一番難しいのが、5・6年生の時期ではないでしょうか。
5・6年生ともなると、思春期が始まって心のバランスが不安定になるお子さんもいます。体の発育が気になり始めたり、友人関係が複雑になり、ストレスをかかえる子どもが増える時期です。中学受験をする場合、準備に忙しくなる時でもあります。
中学受験をしない場合
5・6年生で大切なのは「中学生になる心の準備・勉強の基本ができているか」です。
学校のことがきちんと出来ているのなら、様子を見守るのも1つの手。
最低限のルールを決め、親が理解を示すことで「家」がやすらぎの場所になり、自然とゲームに没頭する時間が減ることもあります。
親に指図されるのを嫌う時期なので、自分でゲームの時間を決め、約束を守らせます。1週間くらい様子をみて、守れていないようであれば「着席して・手短に・論理的に」約束が守れていない事と、今後どうするかを相談しましょう。
好き嫌いはあると思いますが、ゲームを「プログラミング学習」に変える、という手もあります。最近は、小学生が大好きな「マインクラフト」を使ったプログラミング学習ができるオンライン講座など、自宅でできる講座が豊富です。
中学受験をする場合
中学受験をする場合は、親子で「ゲームとの付き合い方」をしっかり考える必要があります。
5年生~6年生の夏までは、入試に直結した単元学習をする大切な時期。6年生の夏からは、志望校の過去問を解くなど、総合的な学習に取り組む必要があります。
この時期に「ゲーム>勉強」になっている場合は、もしかしたら「なぜ中学受験をするのか」をお子さんが理解できていない可能性があります。
親が受験して欲しいといっているから、周りの友達が受験するから、兄弟が受験したからでは、過酷な中学受験を乗り越えることはできません。
まだまだ遊びたい小学生が勉強に集中するには、少し先の将来をイメージできていることが大切。
ちょっと時間を作って志望校の学校を見に行ったり、志望校の学生に会って話を聞いてみたりするなど、受験へのモチベーションを高める機会を作るのが効果的です。
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息子が「朝型人間」になったエピソード
とある日、習い事(サッカー)から帰宅した息子が「疲れすぎて、漢字の宿題をやりたくない…」と言ってきました。
学年があがり、学校から帰ってきてすぐに習い事にでかけ、帰宅するのは19時頃。お風呂に入って、食事をして…もう体力・気力の限界だったようです。
そこで、
「明日、早く起きてやってもいいんじゃないかな。起きれなそうだったら、ママが起こしてあげるよ。それに、朝勉強した方が集中してすぐ終わるし、しっかり(勉強したことが)頭に入るらしいよ。」
次の日、息子をいつもより早く起こしてあげました。ぐっすり寝て、元気いっぱいになった息子は嫌いな漢字ドリルをささっと終了。制限時間がある中で勉強したので「あっという間に終わった感じがした」そうです。
気をよくした息子が、
「今日の音読の宿題もしちゃおうかな。」
と言うので、OKしました。
学校から帰宅した息子は、「あ、そうだ!朝、音読しちゃったし、宿題と自主学習すればゲームができる!」と言って、さっそく宿題に取りかかりました。
次の日の朝、さらに気をよくした息子は、「今日は、音読と自主学習もしちゃおう!」と率先して学習スタート。学校から帰宅したらすぐ宿題をすれば、あとは自分の時間になるのが嬉しいようで、それから毎日そのスタイルが続いています。
小学生を「朝勉強するように」にする方法
わが家の息子が朝型人間になったのは、予想外の出来事でした。
そこから分かったのは、小学生のこどもが自主的に勉強するには「自分で気づくことが大切」だということです。
そして、親ができることは「いかに子供の負担を軽くするかを、一緒に考えてあげること」なのだと気がつきました。
「宿題をしなさい」「ゲームをやめなさい」ではなく、どうしたら子供が「やるべきこと」と「やりたいこと」を両立させられるかを一緒に悩んであげること。こどもが健やかに成長できるかをサポートすること、それが親の務めなのだと思います。
ぴったりの解決法は、ご家庭によって違うもの。
参考になれば嬉しいです。