突然ですが、みなさんは「発音練習君」というアプリをご存知ですか?
「発音練習君」は、NHKのラジオ・テレビ英会話の会話スキットを使って発音練習ができる、NHK提供の無料アプリです。
根強い人気のNHK英会話を、小学生から大人まで無駄なく活用できるアプリとして、多くの方に利用されてきました。
このサイトでも「発音練習君」の特徴や使い方をくわしくご紹介してきたのですが、残念ながら2019年3月いっぱいで、サービスが終了します。(※新規受付は2018年12月4日で終了。現在は「NHKマイ語学」に登録済みの会員のみ利用可能。)
NHKマイ語学に登録しているけれど、まだ利用したことがない方。「発音練習君」がどんなサービスか知りたい方向けに、情報をまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。
[ads]
NHKアプリ「発音練習君」とは?
「発音練習君」とは、NHKが提供する「無料で使える発音練習アプリ」です。
このアプリでは、お手本のフレーズを聴き、実際に声に出した発音をチェックをすることができます。「話すのが苦手」と言われる日本人が、楽しく会話するきっかけを作って欲しいと考えるNHKさんが提供しています。

NHKゴガクHP(https://www2.nhk.or.jp/gogaku/)より抜粋
☝「発音練習君」の特徴
- 完全無料、パソコン・タブレット・スマホで使える
- NHK英会話のキーフレーズで発音練習ができる
- 簡単に自分の発音と、ネイティブの発音を比較できる
- 発音判定つき、アドバイスが受けられる
①パソコン・タブレット・スマホで無料利用できる
NHKのサイトは放送受信料をもとに運営されているので、基本「儲けるための仕組み」はありません。そのため、シンプルで質の高い学習ができるように設計されたアプリを、無料で使うことができます。
しかも、パソコン・タブレット・スマホで利用可能。自分の学習スタイルに合わせて、気軽に日々の生活に取り入れることが可能です。
②NHK英会話のキーフレーズを使って発音練習できる
発音練習の題材は、NHK英会話の人気4番組で扱う「重要キーフレーズ」です。
- おもてなしの基礎英語(週4つ)
- 基礎英語1(週4つ)
- 基礎英語2(週3つ)
- 基礎英語3(週4つ)
英会話表現として覚えておきたいフレーズを使って練習できるので、発音のみならず、表現の幅が広がります。
「おもてなしの基礎英語」で学ぶのは、週4つ。「基礎英語1」は週4つ、「基礎英語2」は週3つ。「基礎英語3」は週4つ。1週間に合計15個のフレーズを使って、発音練習をすることができます。
4月23日~の1週間で学習したフレーズは、こちら。


この15個から、練習したいフレーズを選ぶことができます。もちろん、すべてに挑戦してもOKです。
③自分の声を録音して、ネイティブと比較できる

NHKの無料アプリでは、自分の声を録音・再生する機能があります。
「ネイティブの発音を聞くボタン」と「自分の声を録音するボタン・再生ボタン」が1画面にあるので、簡単な操作で発音を比較することができます。
これは、とっても便利!
英語の発音練習は、DVDを観たり、テレビを観たり・・・と様々な方法がありますが、初級者・中級者レベルの学習者には、「自分の発音とネイティブの声を比較する学習法」がおススメです。
これについては、後ほどご説明しますね。
④発音判定つき・アドバイスが受けられる
発音を録音すると、自動的に「正しく伝わる発音であったか」をアプリが判定し、結果を表示します。

判定の種類は、「OK・NG」の2つ。
判定基準は、NHK独自に発音記号化したお手本のフレーズと、学習者が録音した音声とを比較し、発音として大切な個所を正しく発音できるかを判定するものです。
OKの場合は、音声の続きが返ってきます。
例えば、基礎英語Lesson18で学習するキーフレーズ “Is he a samurai?(彼はサムライですか?)”を正しく発音すると、”Yes, Tama is a samurai robbot.(そうよ。タマちゃんはサムライロボットなの。)”という会話の続きを、アプリが発声します。
正しく発音できないと、”Sorry, I don’t understand.(ごめんなさい、わかりません。)という表示が出ます。それと同時に、「Is he…?の文は、最後をあげるイントネーションで言いましょう」という発音のアドバイスを教えてくれます。

どこを直せばよいか、などの詳細は、残念ながら教えてもらえません。
でも、だからこそ、お手本を聴き、自分で発声し、自分の声を聴き、もう一度挑戦する…という流れができます。これは、発音練習の重要ポイントです。
また、自分の発音とトコトン向き合うことで、リスニング力も伸びていきます。
発音上手が知っている、4つのコツとは?

せっかくアプリを使っても、間違った使い方をしていたのでは、効果的な英語の発音練習にはなりません。
そこで、日本人が知っておきたい、発音がうまくならない原因をご紹介しながら、発音が上手な人が実践している4つの法則をご紹介します。
まず、次の4つの質問にYes./No.で答えてみてください。
- 発音練習をしていると、口の周辺が痛くなる
※(子供の場合)口を大きく動かしている - 発音練習は、座って行っている
- 発音練習をとにかく頑張っている
- 自分の声とネイティブの声を比較している
①発音練習をしていて、口の周辺が痛くなる→Yes/No
この質問のポイントは、日本語を話す時よりも、英語を話す時の方が「口を大きく開けて発音しているか」ということです。
効果的な発音練習ができている場合は、必ずと言っていいほど「口の周辺」が痛くなります。子供の場合は、「口を大きく開けているか」に注目しましょう。
これは、私たちが普段話す日本語が、あまり口を開かなくても発音できる言語であるため、正しい英語の発音練習ができていれば、おのずと普段話している時よりもはるかに多い筋肉を動かすことになるからです。
つまり、口を大きく動かさなければ、ネイティブのような発音に近づくのは難しいと言えます。
②発音練習は、座って行っている→Yes/No
発音練習を行う際、座って行っている方が大半だと思いますが、いかがでしょうか?
実は、「立って行う」方が早く上達します。それは、日本語にはない英語のリズムやイントネーションを身につけるには、体を使うのが一番だからです。
子供向けの英会話教室では、体を動かすアクティビティがたくさんあるのをご存知ですか?これには、体を動かしながら発音することにより、体で英語のリズムやイントネーションを覚えられるというメリットがあります。
日本は、喜怒哀楽を表に出すことをためらう文化。日本語という言語も平坦なため、意識的に言葉に強弱をつける必要があります。
英語のアクセント、リズム、イントネーションを身につけるには、立ちながらの練習がお勧めです。
この「発音練習君」を使う場合も、フレーズを話す人物になったつもりで練習してみると効果的ですよ。
③発音練習をとにかく頑張っている→Yes/No
発音練習をがんばること自体は、とても良いことです。ただ、小学生・中学生・高校生や英語学習初級・中級レベルの大人の場合、発音練習ばかりに時間をさくのは効率的ではありません。
理由は3つ。
- 効果的な発音練習は、長時間できない
- 英語レベルをあげるためにすべきことは、他にも山ほどある
- 英語を話す相手はネイティブばかりではない
1. 長時間の発音練習はNG
①・②でお話したように、効果的な英語の発音練習をするためには、「口を大きく開け」「身振り手振りをつける」ことが大切になります。
これをきちんとやろうとすると、体は疲れますし、頭もフル回転させなければなりません。長時間の練習は、逆に効果が薄れるのです。
発音練習に特化して行うのであれば、短時間に。また、表現フレーズを覚えたり、音読をする際に発音を意識して行うようにする方が、効果が上がります。
2&3. 英語力を伸ばすには、総合力が必要
今や、世界中の人々が英語でコミュニケーションをとる時代になりました。今のこどもたちが大人になる頃には、英語を話す相手は、主に中国・インド・フィリピンなどの「訛りのある英語」を話す人たちになります。これは、大人も同じ。
彼らと渡り合っていくには、英語の発音そのものよりも、コミュニケーション能力・文化理解・会話する内容への幅広い知識が問われます。限られた時間で、やるべきことはたくさん。
そして、これから英検やTOEIC・TOEFLなどの検定試験に合格するには、総合的な知識が必要です。
リスニング問題にも、環境問題・社会情勢に関する題材が選ばれるため、内容を理解することが高得点につながります。
とは言え、発音練習をすること自体は、非常に大切です。
ノンネイティブの学習者は、基本、アメリカ英語やイギリス英語を聴いてスピーキング・リスニングの練習をしていますし、英検やTOEIC・TOEFLなどの検定試験で流れる英語は、基本アメリカ英語です。
そこで、大切なのは、ただ単に、発音練習だけを長々しないこと。今回紹介しているNHKアプリのように、基本会話フレーズを学習しながら発音をよくする、というような学習が効果的です。
④自分の声とネイティブの声を比較している→Yes/No
みなさんは、自分が映っている動画などを見て、自分の声に違和感を覚えたことはありませんか?
私は、自分の録音音声を聞く度に、もごもご喋っている自分が嫌になります。もっとはっきり喋ろう!と思い、少しの間だけはハキハキ口調に(笑)。
これは、英語も同様です。
特に初級・中級レベルの場合、実際に自分の発音を録音してみると、自分は発音できていると思っていた表現が、思っていたものと違うことがほとんどです。お手本としている教材のCDと自分の録音音声を同時に流して比較してみてください。結構ビックリします・・・。
ネイティブのような発音に近づくためには、自分の発音をしっかり聞くことがとても重要です。
ということで、発音練習のコツを掴んでいる人が選ぶ答えは、「Yes・No・No・Yes」でした。みなさん、いかがでしたか?
つまるところ、英語の発音練習を効果的に行うには、
- 普段よりも口を大きく動かして発音する
- 体を使って発音練習をする
- 発音練習は「発音+α」で行う
- 自分とネイティブの発音を比較する
ことがポイントとなります。
2番目の「座って行っている」は、Yesでも構いません。ですが、身振り手振りを使うなどして、英語圏の人になったつもりで練習すると、より効果的です。
アプリの使い方
さて、ここからは、実際にNHK無料アプリ「発音練習君」を試してみたい方向けに、具体的なアプリの使い方をご紹介します。
今回説明するのはパソコン版です。
タブレット・スマートフォンは、アプリ「NHKゴガク」をApp Store/Google Playからダウンロードして使います。使い方は基本同じですので、参考にしてください。
①「NHKゴガク」を検索
まず、「NHKゴガク」のホームページにいきます。

この「NHKゴガク」には、今回ご紹介した発音練習アプリの他にも、ラジオを1週間分ストリーミングできたり、聞いた講座の出席簿がつけられたりする機能が沢山あります。
発音練習をするだけであれば、登録しなくても利用可能です。その他の便利な機能を使うには「マイ語学」という会員登録が必要になります。登録は無料です。
※2018年4月に新規受付終了
※「発音練習君」を利用できるのは、NHKマイ語学の既存会員のみ2019年3月まで
※ストリーミング(聞き逃し)機能は2019年4月以降も利用可能
②発音練習をしたい講座を選択
英語の発音練習ができるのは、「おもてなしの基礎英語」「基礎英語1」「基礎英語2」「基礎英語3」の4講座。
講座リストから発音練習に使いたい講座を選び、「発音練習マーク」をクリックします。
③「かんたん使い方ガイド」に従って設定
「かんたん使い方ガイド」では、「発音練習君」の利用に必要な設定を、6ステップに分けて、わかりやすく教えてくれます。
- 必要な機器・環境の確認
- Adobe Flash Playerのインストール・設定
- スピーカーの接続確認
- マイクの接続確認
- 利用規約と注意事項
- 使い方の説明
このアプリを使うためには、
①スピーカーのついたパソコン
②マイク/ヘッドセットマイク/パソコン内蔵マイク
③ネット環境
④Adobe Flash Playerのインストール が必要です。
↓「かんたんガイド」の1ページ目

↓ステップ6:「使い方の説明」

④設定完了!
ここまで来たら、あとは使うだけ。
おススメの練習方法
まずは、「これなら判定でOKがもらえる!」と思うフレーズから挑戦するのがおススメです。小学生の場合は、お子さんと一緒に選ぶと楽しさ倍増ですよ。
- 確実にできるフレーズを選ぶ
- お手本音声を聴く
- 自分の声を録音する
- 判定を見る
大切なのは、ここから。
え・・・と落ち込むかもしれませんが、その必要はありません。相手はただのアプリです!
「再生」ボタンを押すと、録音した声を聴くことができます。自分の発音をよく聞き、お手本発音と比べてみましょう。
小学生の場合は、あまり細かいことは気にせず、OK判定になるまで「録音⇔判定」を繰り返してみてください。小学生は、「楽しい」が上達の秘訣です。
- リズムはどうですか?
- イントネーションは合っていますか?
- 強弱は正しいですか?
- 音と音のつなぎを意識していますか?
- 会話をしている気持ちで発音できていますか?
※このアプリは、イントネーション・強弱は判定基準に入っていません。ただし、実際に使用してみましたが、この2つを意識することでOK判定が出やすくなると感じました。また、音声以外のノイズがあると正しく判定されないことがあるので、注意しましょう。
おめでとうございます!
でも、本当の練習はここからです。まずは、NGの場合で示したポイントを確認してください。
- 自分の録音音声を聴く
- 発音ポイントができているか確認
- 2でできていない部分の練習
- お手本音声と同時に発音してみる
スマートフォンなどの録音(録画)機能を使って、お手本音声と同時に発音をしてみましょう。再生をして、お手本と同じタイミング・リズム・イントネーション・音の変化ができているかを確認します。
ここまで出来たら、発音練習完了です。
1日1フレーズでも効果がありますので、無理をせずに続けましょう!
まとめ
さて、いかがでしたか?
実は、最後にご紹介した「効果的な練習法」は、わたしが高校生の頃に使っていた方法です。
当時はスマートフォンなんてありませんでしたから、ラジオをテープに録音して練習しました。CDラジカセと、テープを再生・録音できるコンパクトな録音機をもって、NHK英会話と自分の声を比較・修正する毎日。
今は、こんな便利なアプリが登場し、スマホやICレコーダーで簡単に練習ができる。うらやましい限りです!
この他にも、無料でできる発音練習・効果的な発音練習法はたくさんあります。
みなさんの発音がネイティブに近づき、リスニング力の向上になるお手伝いになれば嬉しいです。