
最近話題のアミノ酸「アルギニン」をご存知でしょうか。
アルギニンは成長ホルモンの分泌を促進すると言われており、子どもの成長に関する書籍には必ずといって良いほど「アルギニン」の文字を見かけます。
また、子ども用の成長サプリメントにもアルギニンを含むものが多くなってきました。
そこで、今回は「アルギニンの基礎知識」から食品別アルギニン含有量、そして年齢別の理想的な摂取量などをご紹介します。
アルギニンとは?
アルギニンは、たんぱく質を構成するアミノ酸の1種です。
自然界に存在するアミノ酸は数百種類以上もあります。
その中で、医学的に「人の体のたんぱく質になる」と認められているのは20種類です。つまり、20種類のアミノ酸が人間のからだを支えてくれていると言えます。
それらは「体内で合成できる非必須アミノ酸」9種類と「体内で合成できない必須アミノ酸」11種類に分けられます。
20種類のアミノ酸名と、具体的な働きをまとめると次のようになります。


アルギニンは本来、体内で作り出すことができる非必須アミノ酸です。
しかし、子どもの場合は体内で生成される分量がごくわずかであるため、食事から積極的にとりたい「必須アミノ酸」扱いになっています。
特に成長期の子どもは、成長のためにアルギニンがたくさん必要です。
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「アルギニンが身長を伸ばす」と言われる理由
アルギニンに注目が集まるようになったのは、アルギニンが「低身長者向けの成長ホルモン分泌刺激試験の薬」に使われていることが知れ渡るようになったからだ、と考えられています。
日本小児内分泌学会によると、分泌刺激試験では体重1kgに対して0.5gのアルギニンを30分間で直接血管内に点滴投与します。たとえば体重30kgの子どもの場合、アルギニンの量は15gです。
ただし、医療現場では「多量のアルギニンを直接血管内に入れる」のに対し、食品やサプリメントは「少量を口から摂取」します。吸収・代謝を考慮すると、少量では意味がありません。
また、日本小児内分泌学会の発表によると、2013年の時点で「サプリメント摂取によって成長ホルモンの分泌が促された」という学術データはない、とのこと。
また、アミノ酸は20種類をバランスよく摂ることにより効果を発揮するので、(※栄養で人生は変わる 食はあなたの人格を作り、人生の良し悪しも決める! /旭屋出版/那須由紀子より)アルギニンだけを少量口から摂取したからといって「すぐ身長が伸びるわけではない」ということになります。
とはいえ、アルギニンは紛れもなく成長に必要な栄養素であることは間違いありません。
アルギニンがもたらす3つの効果
では、アルギニンにはどのような効果があるのでしょうか?
アルギニンは「身長をすぐ伸ばしてくれる魔法の成分」ではありませんが、アルギニンには3つの効果が期待できるという研究結果があります。
☝主な効果
- 成長ホルモンの分泌を促す効果
- 免疫力を高める効果
- 疲労回復をする効果
アルギニンは、脳の脳下垂体の働きをよくして、成長ホルモンの合成を促す働きがあります。
また、疲労回復効果もあるので、身長を伸ばすのに必要な「質のよい睡眠」にもつながります。
いくらアルギニンを多量に摂っても、十分な睡眠がとれていなかったら身長は伸びません。質のよい睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、骨を作るサポートをしてくれます。
子どもに必要なアルギニンの量
前述した通り、アルギニンは体内で生成できる非必須アミノ酸ですが、子どもの頃は体内で生成することができない必須アミノ酸です。
アルギニンは食事から積極的に取る必要がありますが、食事を用意するのはほとんどの場合、親の仕事です。そうなると、「自分の子どものアルギニン摂取量が足りているのか?」が気になりますよね。
WHO報告によると、アルギニンの推奨摂取量は『体重×100mg~120mg』です。
(※成長期サプリメントを販売する株式会社エメトレの調査より)
これを各学年ごとの平均体重で計算すると、学年別に必要な「平均アルギニン摂取量」がわかります。(※アルギニンは100~120mg/1kgで計算)
☝学年別アルギニン必要量
- 【小1】2,115~2,538mg
- 【小2】2,380mg~2,856mg
- 【小3】2,680mg~3,216mg
- 【小4】3,035mg~3,642mg
- 【小5】3,410mg~4,092mg
- 【小6】3,875mg~4,650mg
- 【中1】4,385mg~5,262mg
- 【中2】男子4,880mg~5,856mg/女子4,720mg~5,664mg
- 【中3】男子5,400mg~6,480mg/女子4,990mg~5,988mg
注意したいのは、これが「体を正常に保つ上で必要なアルギニンの量」だということです。
例えば、平均的な小学6年生の場合、最低でも1日約5.0g(=5,000mg)のアルギニンが必要になります。
外遊びが多かったり、定期的に運動をしているお子さんの場合は、これ以上の「体重に見合った量」の摂取が望まれます。
アルギニンを含む食べ物・料理別ランキング

アルギニンを多く含む食品は、タンパク質を多く含む肉類・魚類・大豆食品です。
アルギニンは調理の状態によって含有量変化します。つまり、食べ物が「生」の状態と「調理後」とではアルギニンの含有量が異なります。
文部科学省の食品成分データベースによると、牛肉は「ゆで」・豚肉は「焼き」・鶏肉は「胸肉」を選ぶとより効果的に摂取することができます。
食品種類・調理方法別にまとめましたので、今日の料理から、ぜひお役立てください。
肉類(100gあたり)
【牛肉】輸入牛もも | [ゆで]2.1g | [焼き]1.8g |
【牛肉】輸入牛リブロース | [ゆで]1.8g | [焼き]1.6g |
【牛肉】乳用飼育牛もも | [ゆで]1.9g | [焼き]1.8g |
【牛肉】用飼育牛もも | [ゆで]- | [焼き]1.9g |
【牛肉】交雑牛肉もも | [ゆで]1.7g | [焼き]1.6g |
【牛肉】和牛もも | [ゆで]1.8g | [焼き]- |
【牛肉】ひき肉 | [ゆで]- | [焼き]1.7g |
【豚肉】赤身ヒレ | [ゆで]- | [焼き]2.5g |
【豚肉】もも肉 | [ゆで]2.0g | [焼き]1.9g |
【豚肉】ロース | [ゆで]1.8g | [焼き]1.7g |
【豚肉】ひき肉 | [ゆで]- | [焼き]1.7g |
【豚肉】スモークレバー | 1.7g | |
【豚肉】ヒレとんかつ | 1.5g |
【鶏肉】むね肉 | [皮なし・焼き]2.5g | [皮つき・焼き]2.2g |
【鶏肉】もも肉 | [皮なし・焼き]1.7g | [皮つき・焼き]2.1g |
【鶏肉】もも肉 | [皮なし・ゆで]1.7g | [皮つき・ゆで]1.8g |
【鶏肉】ひき肉 | [ゆで]- | [焼き]1.8g |
【鶏肉】唐揚げ | 1.5g |
魚介類(100gあたり)
ご家庭の食卓に上りやすい食品を集めました。
【あゆ】天然 | - | [焼き]1.6g |
【真あじ】 | - | [焼き]1.6g |
【めかじき】 | - | [焼き]1.6g |
【うるめいわし】丸干し | - | [焼き]2.6g |
【車えび】養殖 | [ゆで]2.6g | [焼き]2.2g |
【しらす】半乾燥 | 2.4g | - |
【毛ガニ】生 | 1.6g | - |
【タラバガニ】 | [ゆで]1.7g | [缶詰]1.6g |
大豆、卵、乾物
食事で使う分量で計算しています。
【全卵】1個50g | [生]0.39g | [ゆで]0.4g |
【卵黄】1個25g | [生]0.6g | [ゆで]0.6g |
【卵白】1個25g | [生]0.31g | [ゆで]0.33g |
【大豆】乾燥20g | 約0.54g | - |
【豚ゼラチン】5g | 0.4g | - |
【落花生】乾燥10個8g | 約0.26g | - |
【鰹節】加工品5g | 約0.2g | - |
【タラバガニ】 | [ゆで]1.7g | [缶詰]1.6g |
推奨摂取量5.0g(=5,000mg)をすべて食品で摂取しようと考えると、「合い挽き肉なら300g以上」「ヒレ豚カツなら3枚以上」「納豆なら10パック以上」が必要になります。
お肉や魚・野菜などをもりもり食べるお子さんなら、食品からだけでも摂取できる量ではあります。ですが、現実的にはなかなか難しいところ。
効果的に摂取するには、「食事によってたんぱく質を使い分け」お子さんが料理に飽きないよう工夫するのがおススメです。
アルギニンを含むサプリメント5選
食事だけでアルギニンの必要摂取量をとることが場合や、運動をたくさんしている場合は、サプリメントの利用も考えると身長をより効果的に伸ばすことができます。
最近では、アルギニンを含むサプリメントが数多く発売されています。
その中から人気の5種を表にまとめました。

☟各サプリのHPはこちら
アルギニンを含むサプリメントの選び方
アルギニン含有のサプリメントを選ぶ際は、子どもの運動量を考慮することが大切です。
スポーツの習い事などをしている小学生・中学生に人気なのが、アルギニンの含有量が明記されているサプリメント。1回の摂取量が1.0g(1,000mg)以上と、運動をした日にしっかり栄養を取ることができます。
また、成長期に必要な栄養素を効率よく摂取できるように成分配合されてているので、アルギニンが吸収されるよう配慮されているところもポイントです。
選ぶ時の注意点
ただし、アルギニンの含有量が多い場合は、以下のポイントをクリアしたサプリメントを選ぶ必要があります。
- 一度に多量摂取するのではなく、2回以上にわけて摂取できるものを選ぶ
- アルギニンと相性のよい「シトルリン」「クエン酸」と一緒に摂取できるものを選ぶ
- 年齢・体重・食習慣によって、摂取量を調整する
- 就寝前、運動後、空腹時などに飲む
アルギニンは、食品から摂取する場合は自然なものです。よって、多量に摂取したからといって体に悪影響を及ぼすことはありません。
ただし、アルギニンの含有量が多いサプリメントを摂取する場合は、「選び方」に注意が必要です。
特に注意したいのは、アレルギー体質のお子さん。
アルギニンは過剰摂取をすると、副作用として腎臓に負担がかかることがあります。どのサプリメントも同じですが、適用量を様子を見ながら摂取するようにしましょう。
この副作用が起こらないように調整してくれるのが「シトルリン」と「クエン酸」です。サプリメントを選ぶ際は、この2つが入っているものを選ぶと安心です。
筆者がおススメのサプリメント2選
これらのポイントをクリアしているのが、「マックスノビール」」と「Dr.Senobiru(ドクターセノビル)
」の2社です。
マックスノビール
全学年の小学生・中学生におススメなのが『マックスノビール』です。
水に溶かすパウダータイプ(パイン味)で、摂取量の調整が可能。こちらは、睡眠の質を高めてくれる「グリシン」や、アミノ酸が豊富に入っています。
1回の摂取量が1.0g(=1,000mg)なので、小学校低学年のお子さんでも安心して飲むことができます。私の息子は、現在こちらをお試し中!
ドクターセノビル
小学校高学年(10代)以上で、定期的に運動をするお子さんにおススメなのが、圧倒的にアルギニンの含有量が多い『ドクターセノビル』です。
水に溶かすパウダータイプ(グレープフルーツ味)なので、摂取量・味を自由自在に調整することができます。
また、人体で生成される自然成分に近い「L-アルギニン」を採用。1袋2.5g(=2,500mg)含まれるので、体重が増えてくる高学年向きです。
ぜひ、参考にしてください。