小学生に英文法を教える際は、小学生の理解を妨げてしまうため、「単数形・複数形」といった用語は使わないのが基本です。
でも、英検などでは文法問題も出るし、「文法を意識した学習をさせたいな」と思いませんか?
小学生には文法そのものは教えませんが、繰り返し歌ったり、見たり、聴いたりしながら「英語の規則性」をからだで覚えていくことで、効果的に英文法を身につけることができます。
☞「英文法を小学生に教える際の2大原則」についてはこちら
生活に英語を取り入れている、またはこれから取り入れようとしているご家庭は、親が少し意識を変えるだけで、格段に子どもの英語力がアップしますよ。
今回は、親世代のわたし達になじみ深い『Ten Little Indians』などを使いながら、単語の「単数形・複数形」の基本を理解できるようになる学習法をご紹介します。
「単数・複数形」はシンプルな曲から学ぶ
今回学習するのは、単数・複数形の基本中のきほん。
「数えられる名詞の複数形には、その語尾に『S/ES』がつく。一方、単数形にはつかない」という英文法です。
1曲目は、『One Potato, Two Potatoes(by Super Simple Songs)』。2曲目は、有名な『Ten Little Indians』を選びました。
どちらも簡単に歌うことが出来る、非常にシンプルな曲です。
シンプルですが、英語の単数・複数形を意識しながら歌うとどうでしょうか? ぜひ一度、「S/ES」を意識しながら歌ってみてください。曲のリズムに合わせると、意外と難しいかもしれません。
一見、複数形の「S/ES」は簡単に見えますが、日本語にはない文法なので、意識しないと使えるようになりません。そのため、大学受験生が英作文で間違いやすいポイントでもあります。
ここでは、歌やカードを使ったゲームを通して、小学生が「S/ES」を意識できる学習法をご紹介します。
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今回使う「英語の歌」~2曲~
『One Potato, Two Potatoes』
この歌は、ジャガイモをひたすら数える曲です。
英語特有のリズムを感じながら、単語の単数・複数形の基本である「S/ES」のつけ方・発音を学ぶのに適しています。
【歌詞(日本語訳)】
(ポテトが1つ、ポテトが2つ、ポテトが3つ、4つ。)
Five potatoes, six potatoes, seven potatoes, more.
(ポテトが5つ、ポテトが6つ、ポテトが7つ、もっと。)
※5回繰り返し
『Ten Little Indian Boys』
親世代でも知っている方が多い名曲です。
10人のインディアンの男の子を1から順番に数えます。次に10から1に戻るのですが、10人の場合は「ten little Indian boys」に、1人の場合は「One little Indian boy」になります。
Youtubeにたくさん動画があがっていますので、お子さんの年齢や学年に合ったアニメーションのものを選ぶことができます。今回、わたしが選んだのは、子どもたちの歌声が収録されている動画です。
【歌詞】
Ten little, nine little, eight little Indians, seven little, six little, five little Indians, four little, three little, two little Indians, one little Indian boy!
※繰り返し
口を大きくあけないと、リズムに乗って発音することが難しい曲です。
では、具体的な学習法をみていきましょう!
「オーバーラッピング」学習法
まずは、動画を見たり、一緒に歌ったりして楽しみましょう。
学年によっては、アニメーションを幼く感じる場合もあると思います。その場合は、音だけでOK。無理は禁物です。低学年のお子さんなら、曲を流せば勝手に歌いはじめるかもしれませんね。
この、「お手本となる会話や歌に自分の声を重ね、同時に発音する」という行為は、立派な英語学習法です。専門的には「オーバーラッピング」といい、通訳の練習でも使われる、総合的な英語力を鍛えるための練習法になります。
小学生の場合は、完璧さをもとめる必要はありません。同じリズムで歌えるように、何回か繰り返してみましょう。
ICレコーダーがご家庭にあれば、お子さんの声を録音してみてください。盛り上がりますよ!
「カードで英文法を意識する」学習法
歌に慣れたら、次は英文法を意識していきます。
子どもは、英語の語順を「感覚」で身につけていきます。赤ちゃんがたくさんの人に話しかけられて日本語を吸収し、教えてもいない「文」づくりが出来るようになるのと同じように、英語の場合も、語順を教えなくても「文」の作り方を理解していきます。
ここで役立つのが、「英単語カード」です。
カードは、お子さんが作るのが最適。
100均で売られている単語カードなどに、スペルを書いてみましょう。できれば、歌をくちずさみながら書くと、音のニュアンスが掴みやすくなります。(フォニックス効果)
『One Potato, Two Potatoes』の場合
☝用意するもの
【カード全27枚】
- 英単語のカード14枚(one, two, three, four, five, six, seven, more, potato×6)
- 複数形につけるための6枚(es)
- 数字のカード7枚(1~7)
☝学習の手順
- 曲を流しながら、または歌いながら、歌詞に合うように英単語カード16枚をすべて並べます。
- 次に、数字の英単語カード(one~seven)だけ取り除き、脇に寄せておきます。
- そこに、よく混ぜた数字カード(1~7)を裏返しにおきます。
- 1枚ずつ、順に数字カードを表にします。数字に合わせて、単数/複数のESカードを入れ替えます。それを、すべて行います。
- できたら、曲に合わせて歌ってみます。うまく出来るかな?
このゲームで、oneの場合はesはつかないが、two~sevenの場合はesがつく、という基本を身に付けることが出来ます。
『Ten Little Indians』の場合
この曲は、one, two, threeなどと数字がセットになっているので、単語カードだけでは少々わかりづらくなります。そのため、大きな紙に歌詞を書き、その上に英単語を置いたり、入れ替えたりします。
☝用意するもの
【紙1枚・カード14枚】
- 大きめの紙1枚
- カラーペン1本
- 複数形につけるため紙4枚(s)
- 白紙のカード1枚
- 英単語の数字カード10枚(one, two, three, four, five, six, seven, eight, nine, ten)
まず、大きめの紙に、複数形「s」以外の文字をすべて書きます。「s」の部分は何もかかず、空白にしておきます。

☝学習の手順
- 曲を聴き(歌い)ながら、複数形「s」のカードを置きます。最後の ”one little Indian boy” の後には、白紙のカードを置きます。
- 次に、複数形「s」がつく根拠となる数字8個に〇をつけます。数字を意識しながら、歌ってみましょう。
- 英単語の数字カード10枚を混ぜ、3で○をつけた数字8個の上に置きます。
- 「s」のカードが必要かどうか考え、カードを並べ替えます。
- (曲をかけながら)単数・複数を意識して歌えるか、やってみましょう。
まとめ
この他にも、「たくさんの」という日本語を英語で表現する場合、数えられる名詞(可算名詞)には”many”を、数えられない名詞(不可算名詞)には”much”をつけるなど、単数・複数形を意識する場面は数多く存在します。
日本語にない文法構造に子どもの頃から慣れておけば、中学からの文法学習で「なるほど!そういうことか!」と、楽に理解できるようになります。
ぜひ、お子さんに合ったアレンジを加え、学習の中に取り入れてみてください。