中学受験

SAPIX(サピックス)小学部入室説明会のポイントまとめ

SAPIX(サピックス)小学部の入室説明会のまとめ

SAPIX(サピックス)は開成・麻布・桜蔭・女子学院といった難関中学への合格実績で有名な塾で、首都圏43校・関西圏に4校を展開しています。

わが家の息子は、来年度で新4年生。

一般的な「中学受験をするなら塾に通いはじめる時期(=3年生の2月)」が近づいてきたため、現在学習しているZ会中学受験コースを継続するか、塾に入るかの検討をはじめ、SAPIX経験者や通塾者のブログや口コミをたくさん読みました。

そして、それら口コミは本当なのかを自分の目・耳で確かめるべく、SAPIX(サピックス)小学部の「入室説明会」に行ってきました。

このページでは、SAPIXの入室説明会で得た情報をわかりやすくご紹介します。

校舎によって雰囲気や説明内容は多少違いますし、実際に自分でSAPIXへ行ってみるのが一番です。ぜひ、参考にしてください。

入室説明会の流れ・感想

私が訪れたのは、首都圏にある某SAPIX。

SAPIXの入室説明会は月1回行われており、私が参加した回は「とある平日の10:30~12:00」でした。もう入室定員に達してしまって入室できない校舎もあるので、その日は仕事を入れずにSAPIXデーにしました。

他塾の説明会は土・日であることが多いのに対し、平日の午前中に行うとは「家庭学習を重視するSAPIX」らしいな、と思います。(※土曜開催の校舎・月もあります)

私が訪ねた校舎は駅から大人の足で約5分の立地にあり、ビル一戸建てです。お店が入っていないので、少し重いガラス扉を開いて入ると、SAPIXワールド。

早めにSAPIXの最寄り駅到着し、周囲を散策。

入室説明会がはじまる15分前に到着しました。
(入室テストも開始15分前には着席しておくようにと書いてあったので、早め早めに行動。)

 

まず、入ってすぐに校舎長が出迎えくれ、入り口すぐ左側にある事務所に案内してくれました。

子どもの氏名・学年・通っている小学校名を記入してから資料をもらい、説明会会場に移動します。

説明会会場は、実際は子どもが使っている教室です。2クラス分の教室をつなげ(=パーテーションを取り外し)約40人が着席できる広さ。都内の人気校舎であれば、もっと広い環境で行うかもしれません。

机も、黒板も、座席間隔もすべて子どもが使っているのと同じ。

机は息子が通う小学校よりも小さ目の印象。席と席の感覚は狭く、大人はちょっと遠慮しながら合間を抜けて移動する感じです。

 

私は大学受験関連の仕事をしているので、どうしても色んなところをチェックしたくなり…。開始前にトイレ、廊下の掲示物、掃除状況などをさりげなく確認しました。

ひと言で表現すると、キレイ。

そして、まったく無駄がありません。

  • 入り口にはパンフレット置き場・看板・手を消毒するスプレーはあるが、他には何もない。
  • 受付した事務所もスッキリ。
  • 受付担当の事務員さんは、テキパキ仕事をこなしそうな雰囲気。
  • 掲示は必要最低限のみ。
  • トレイもキレイで隅々まで掃除が行き届いている。
  • 教室は黒板キレイ、床には髪の毛1本すら落ちていない。

保護者が来るのだからキレイにしているのは当たり前ですが、日頃から整理整頓・清掃、そして子ども達にも「メリハリをつけること」を教えてないと完成しない綺麗さだと思いました。

何よりも感心したのが、子どもの邪魔をする物が何もないこと。

入室説明会があった階は、6年生の9月から始まる特訓コースのクラス分けと、必要最低限のお知らせ掲示しか見当たりませんでした。

大学受験向けの塾は、至る所が張り紙だらけです。競争心を煽るために、成績表を貼りだしたり、クリアした単元を個人別で貼りだしたり…。

これらは高校生には有効ですが、小学生にとっては邪魔になることもしばしば。

子どもの集中量を最大限引き出すには、気をそらす原因となるモノを視界から取り除くのが一番です。

何もないからこそ、必要な情報が掲示されていれば、すぐ理解できる。

やるべきことが分かる。

とにかく、無駄がありません。

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講師が考える、難関校合格者数が多い理由

最初にお話があったのは、なぜSAPIXが難関中学に多数合格者を輩出できるのかについて。

結論を言うと、SAPIXが重視している思考力・記述力の向上と、近年の中学受験の傾向がマッチしているからとのことでした。

最近の中学受験では、「しっかり考え、すばやく情報を整理して記述する能力」が求められます。

御三家の開成・桜蔭の昨年度の解答用紙は、記述問題ばかりで真っ白。難易度最高レベルの長文を2つ読み、且つ、記述問題に答え続けなければならないハードな内容です。

SAPIXで思考力・記述力が育つのは、

  • クラスが少人数制(15人~20人)
  • 討論形式で「なぜ」を徹底的に考える
  • 記述問題をクラス中に講師が添削する
  • 月1回~2回、演習形式で添削問題に取り組み、専門の添削者にチェックしてもらう「てんさく教室」がある

という特徴があるから。

討論形式の授業は他塾でも行っていますが、記述問題をクラスで見て、そして第3者の専門添削者が精度を高めることで、どの中学にも対応し得る力がついていきます。

現在、わが家はZ会中学受験コースですが、国語の記述問題はまず私がチェック。ヒントを出し、ある程度理解してからZ会に提出しています。

これを毎週できる、というのはとても魅力的だと感じました。

 

講師が考える、他塾とSAPIXが違うところ

入室説明会で触れられたのは、以下の3点でした。

  1. 記述演習は授業で講師が1人1人添削する以外に、専門スタッフによる「てんさく教室」がある。
  2. 文脈から考えて語彙力を強化する教材(別冊)と授業での討論
  3. 導入授業→基礎固め→テストでの定着を図るスパイラル授業

①月1回のてんさく教室

授業中に講師が記述問題を添削するというのは、他塾でも行われています。

SAPIXはこれに加え、月1回、演習形式で解いた記述問題を専門のスタッフが添削してくれる「てんさく教室」というものがあります。

日頃から子どもの能力がわかっている講師ではなく、客観的に添削してくれる「第3者」がいるというのは、とても大切なことです。

というのも、中学受験で記述問題を添削するのは、子どものことを全く知らない第3者です。

記述問題は一定の基準にそって採点されますが、細かい判断は個人の裁量になるので、できる限り、多くの人にたくさん添削をしてもらうのが記述力アップのこつと言えます。

 

②文脈にあった語彙力の強化

昔の中学受験問題は選択式の問題も多く、語彙問題においては、語彙そのものの意味を知っていれば解けるものが中心でした。しかし最近は、文脈の中から正しい意味を読み取る問題がたくさん出題されています。

例として紹介されたのが、こんな会話です。

A:「新しいペンを買ったんだ。」
B:「何それ!やばいね!」

問題になるのは、Bが言った「やばい」という言葉です。

「やばい」を辞書を引くと、「危ない、危険だ、具合が悪い、都合が悪い」と書いてあります。でも、この会話ではAが新しいペンをBに見せていることから、「そのペンすごいね!」とか「素敵だね!」という意味になります。

本来の言葉の意味と逆になることを理解できるか。

もっと難しい長文の中で、いかに言葉の意味を正確に理解できるかを問われるのが昨今の中学入試問題なのです。

SAPIXでは、国語の授業を「国語A」と「国語B」にわけて学習します。

国語Aは「漢字・ことわざ・知識」で、国語Bは「長文読解と記述」です。Aでは文脈から考えて言葉の意味を正確につかむ学習を、Bでは書いたり、長文を正確に読む訓練をします。

ただ知識をインプットするだけでなく、クラスで活発に意見交換しながらすすめるので、語彙への理解が深まるのだそうです。

 

③導入→基礎→定着のスパイラル学習

スパイラルとは、螺旋(らせん)の意です。

つまりスパイラル学習とは、同じ単元を何度もくり返し学習すること。ただ繰り返すのではなく、3年生で学んだことが4年生で、5年生で、6年生で…と、階段を上るように積み重ねていく学習のことを指します。

Z会中学受験コースもスパイラル学習だし、他塾だって取り入れているよな…と思ったのですが、SAPIXは、学年別だけではなく、日々の学習にも綿密にスパイラル学習が取り入れらていることが分かりました。

例えば算数では、①算数Bで新しい単元の導入学習をし、②算数Aでそれを復習、③家庭学習で定着させたのちに④授業前算数テスト(16:30~実施)で定着度を測るという、4段階でしっかり身に着けていきます。

これを、また次の学年で行うのですから、身につかないわけありません。

身につかないとしたら、明らかに家庭学習不足ですね…。

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募集停止になっている校舎がある理由

SAPIXのホームページを見ると、11月の段階でも「新規受付を終了しました」という案内がでている校舎があります。

これは、超人気の校舎です。

最近は3年生から入室するケースも多く、特に都内の校舎は定員制限をオーバーしやすいのだとか。

その理由は、「講師を確保するのが難しいから」だそうです。

SAPIXの先生は、他塾から転職してきた場合でも、ベテランのSAPIX講師について1年以上研修を行うそうです。そのため、申し込みが多いからといってすぐに講師を増やすことができません。

確かにこれだけ難関校の合格実績がある塾ですから、プロ中のプロでないと受講生を指導することはできませんよね。

入室説明会でお話してくださった講師の先生は、お二人とも話は面白いし、要領を掴んでわかりやすい。「息子ではなくて、わたしが入室したい…」と思ったくらいでした。

 

お弁当不要・休み時間がない理由

SAPIXについて調べている時に驚いたのは、「お弁当休憩がない」ということでした。

新4年生~6年生は、16:30から授業前テストがスタート。続いて17:00~20:00(21:00)まで授業がありますが、この3時間30分間は休憩時間はありません。

トイレに行く、飲み物をとるのは自由!です。

お弁当を食べるとどうしても眠くなってしまう。集中力が切れるので、あえてしっかりした休憩タイムを取っていません。

小学生なのに大丈夫?と思ったのですが、問題を解く時は静かで、討論をするときは非常に活発なメリハリのある授業なので、子ども達は飽きないのだそうです。

でも、「20時に授業が終わるので、入室して2・3カ月は慣れるまで大変だと思います」とおっしゃっていました。

質問タイムは新4・5年生の場合20時~21時。

家に帰って、復習をして…と考えると確かに大変そうです。

 

入室テストは回によって難易度が違うことがある

2020年度の入室テストは11月に第1回、12月に第2回…と行われています。

12月8日実施のテストは外部生(SAPIXに入室していない生徒)のみ。一方、1月13日実施分は内部生・外部生が受験します。

13日はSAPIXで思考力・記述力を鍛えている内部生のクラス分けテストを兼ねているため、12月と比較するとやや難し目と思われる、とのことでした。

では、外部から入室する場合は12月の方が有利?

と思いたくなりますが、2月の新年度から入室する受講者については、クラス分けは総合的に判断して1月下旬に発表するとのこと。

総合的判断になるので、12月が有利…という話ではないようです。

とはいえ、12月と1月では会場の雰囲気がちがうはず。入室テストを受ける際は、SAPIX内部生の日程も押さえておくと良いかもしれません。

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どのくら家庭学習をすればいいのか

SAPIX経験者のブログを読んでいると、

「宿題が多い!」

「終わらない!」

という声があちらこちらに見られます。

学年やレベルによっても違いますが、ブログを見れば見るほど「うちの子でも大丈夫かな…」と不安になりそうです。

講師曰く、家庭での自主学習最低ラインは「SAPIXの1週間の授業時間」とのこと。

例えば、4年生は週6時間の授業(3H×週2回)があるので、家庭学習の目安時間は最低6時間です。1週間のうち2日間はSAPIX漬けになっているので、実質勉強できるのは5日間。つまり、4年生は1日あたり1時間20分が最低ラインとなります。

5年生は週9時間の授業(3H×週3回)なので、家庭学習は9時間以上となります。SAPIXの授業がある日を除くと、実質4日で9時間。つまり、5年生は1日あたり2時間15分になります。

この話をしてくださった講師は、「最低でもこの時間が確保できないと中学受験はむずかしい」とはっきり言っていました。

人によって必要学習時間はちがうので、時間の使い方を親子で工夫する練習が今から必要だと感じました。

SAPIXは予習が必要ないので、

  • 当日中に分からなかった問題を見直す
  • 次の日に分からなかった問題を復習する
  • できた問題を解き直す
  • 宿題をする
  • 講師から支持があった問題を解く

などの復習をうまくスケジュールに組み込む必要があります。

 

「αクラス=特進クラス」という訳ではない

SAPIXの新4年生~6年生は、1クラスが15名~20名編成です。

入室テストや月1回の組み分けテストでクラスが変わるので、「できるだけ上位クラスを目指して頑張って欲しい!頑張ろう!」と、ついつい親子で気合が入ってしまいます。

ブログで必ず見かけるのが、α(アルファ)というクラス名です。

「αに入るのは難しい」とか、

「なかなか上位クラスに上がれない」とか、

色々な保護者の声がブログに綴られています。

口コミの中には、「α(アルファ)=特進クラス」という捉え方をしているものがありますが、SAPIXの講師によると、αは特進を表すためのものではなく、クラス名の序列を明確にするためのものなんだそうです。

SAPIXは一番上位のクラスがαで、校舎によってアルファクラスが2つ(α1・α2)だったり、5つ(α1~α5)まであったりします。

一番下のクラスはAです。

Aの方がよさそうなイメージをお持ちの方もいるかと思いますが、SAPIXではA・B・C・D…という順序でレベルが上がっていき、校舎の開講コース数によってアルファベットの数が異なります。

特進ではないとはいえ、アルファに精鋭が集まっているのは事実。

がんばって入ってみたいものです。

 

教材は「上位クラスに合わせて作ってある」は嘘

SAPIX(サピックス)小学部の算数・理科テキスト

とあるブログを読んだ時、「上位クラスに合わせて教材が作られているから、下位クラスには難しい」という内容が書いてありました。

これは、誤解だそうです。

SAPIXの教材は、全クラス共通。

Aクラスも、Bクラスも、α(アルファ)クラスも同じ教材を使って学習しており、地域やクラス別に講師が子ども達に合った問題を選んで解かせています。

ブログにはよく「授業で終わらなかったところを全て家庭学習しようとしたら大変。時間がいくらあっても足りない!!」などと書いてあったりしますが、私が受けた説明によれば「全部やる必要はない」のだそう。

最上位のα(アルファ)コースは、発展問題を含むすべての問題に挑戦させるかもしれません。でも、Aコースは発展問題よりも基礎・応用問題を確実に身につける方がレベルが上がります。

講師がきちんとレベルに合った学習範囲を指示してくれるので、「講師に言われたことをきちんとやる」のがレベルアップへの近道ということです。

ついつい「親は教材すべてをやらせなくては!」と肩に力がはいりがちですが、まだ取り組まなくていい問題を無理やり子どもに解かせると、SAPIXでの勉強が苦しくなってしまいます。

それには気をつけましょう!

 

SAPIXの内部偏差値50の正しい意味

「SAPIXの偏差値がずっと50なんですけど、うちの子大丈夫でしょうか…」という質問もよくあるそうです。

差値50は、SAPIXの中で中央に位置していることを意味します。

確かに、4年生からずーっと偏差値50のままだと、レベルが上がっていないのではないかと思い、心配になるかもしれません。

講師曰く、SAPIX偏差値はあくまでも内部偏差値。SAPIX全体のレベルは学年があがることにUPしているので、偏差値50をキープしている=学力は上がっている、という理解が正しいとのことです。

いかがでしたか?

参考になりますように。