
Z会の通信教育講座「中学受験コース」を検討する際、おそらく誰しも一度は「Z会だけで大丈夫なの?」と思うのではないでしょうか。
「塾に通った方が受かるのでは?」
「Z会のカリキュラムだけで十分?」
…など、中学受験は塾に通うのが一般的なので、どうしても不安がつきまといます。
そこで、今回はZ会中学受験コースの4年生対象に行われた保護者会の内容から、Z会だけで本当に受験は大丈夫なのか、そして受験が本格化する5年生コースの内容をZ会視点からご紹介します。
「通信なのに、保護者会??」と思われるかもしれませんが、Z会は通信教育だけでなく通学制の塾も開講している会社なので、タブレット学習者向けにも保護者会が行われることがあるんですよ。
ぜひ、参考にしてください。
Z会中学受験コースだけで合格できる?
もちろん、合格者を輩出できないのであればZ会が「中学受験コース」なんて開講しませんし、実際に毎年難関校へも合格者を出していることからも合格は十分できます。
Z会中学受験コースの先生は、実際にZ会や他塾での指導経験がある先生です。カリキュラムも中学受験にしっかり対応しています。
わが家の息子はZ会中学受験コース3年生を受講していましたが、問題なく大手S塾の入室テストに合格しました。競争が激しい環境の方が合うため、4月からはS塾とZ会中学受験コースの「塾併用要点プラン」で国語・算数のみ受講予定です。
塾に行ったら勉強するようになるお子さんもいますが、子どもによって合う・合わないがあります。また、大勢の中にいて伸びる子ども・伸びない子供、そして校舎や先生によって指導が違うため、塾がいいとは限りません。S塾でも5・6年生になってから転塾するケースも多々あるんですよね。
Z会中学受験コースを塾に通う前の準備講座として使うにしろ、Z会一本で受験するにしろ、重要なのはZ会中学受験コースの「前提」を理解し、「わが子に合うか否か」をしっかり見極めることです。
Z会の教材が「どのように作られ」「どのように設計された」カリキュラム・教材なのかを押さえることで、お子さんがZ会1本でいいのか、3・4年はZ会で5年生から塾に行くのかなどを考える指針になります。
Z会中学受験コースは以下「5つの前提」をもとに作られています。
- 満点を狙うのではなく「合格者平均点」を狙う教材設計
- 忘れることを前提に作成
- 1回で理解できないことが前提
- 単元によって理解しやすい方法は違うので、映像・説明の両方を用意
- 入試を作る先生を理解したスタッフが教材作成
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①Z会は「合格者平均点」を狙う!
Z会は入試で満点合格を狙うのではなく「合格者平均点」を狙う設計になっています。
教材は普通の子が普通にこなせる分量。もちろん中学受験勉強は大変ですが、小学生が小学生らしい生活ができるように、入試傾向を徹底的に分析し、必要最低限で効率よく学習できるようにしています。
わかりやすくするため、御三家に強い大手進学塾SとZ会を比較してみます。
大手S塾の場合、通塾と家庭学習を合わせた4教科の最低学習時間は
- 【4年生】12時間/週
(塾:60分×2コマ×週2回+家庭学習6時間)→週5家庭学習をした場合1時間24分 - 【5年生】18時間/週
(塾:60分×3コマ×週3回+家庭学習9時間)→週5家庭学習をした場合2時間38分
です。
一方、Z会は【4年生】約5~6時間/週(家庭学習は週5日で約1時間)、【5年生】約11時間30分/週(家庭学習は週5日で約2時間)です。映像授業を見る時間は含まれないので、実際のZ会中学受験コースの学習時間はもう少し長くなりますが、Z会4年生は約半分、5年生は約3分の2であることがわかります。
大手S塾は毎日の学習を基本としているのに対し、Z会中学受験コースは週5回が基本で、残りの1日でこなせなかった学習の調整・復習をします。
S塾は家庭学習が大変なことで有名で、親子・家庭協力が欠かせません。4年生からコース分けが月1回あり、競争のある緊張感の中で学習をします。これが合うお子さんはS塾のような塾が適切。
一方Z会も親子・家庭協力は必要ですが、自宅で自分のペースで進められます。映像授業もくり返し見ることができ、合格平均点をしっかり取って合格することが主軸になります。
②Z会は「忘れる」が前提
他の大手学習塾と同じく、Z会も「超スパイラル方式」です。
学年を超えてくり返し単元学習ができるように設計されています。3・4年生で基礎学習をした単元が、5年生で応用問題として再登場。6年生では受験問題に対応した形になって出題されるので、復習をしながら確実に知識を定着させることができます。
そして、通信教育講座であるのに、Z会中学受験コースは「忘れる」ことを前提に教材が作成されています。
Z会小学生コース1・2年生では夏やすいなどの長期休暇になると「夏休み特別ワーク」が別冊としてもらえるのですが、中学受験コースは特にありません。長期休暇に新しいワークが増えないのは、今まで学習した単元をしっかり復習して欲しいから。
Z会曰く、長期休暇はそれまでに学習できなかった問題を解いたり、ドリル学習をくり返すことで「瞬発力」を養う時間にもあてて欲しいとのことです。
③Z会は「1回で理解できない」が前提
1度聞いたのに、1週間たったら良く分からない…ということ、ありますよね。
Z会中学受験コースは自宅にいながら塾同等の学習ができることがウリ。1回の説明で理解できるとは限らないので、要点のすべてに映像がついています。
要点学習のあとに行う練習問題でも、難しい問題には映像解説と言葉による説明がついており、採点のポイントがよくわかる仕組みになっています。採点のポイントの確認は丸付けに役立つだけでなく、出題者の意図を汲み取る力を身につける練習にもなります。
新しい単元の映像は必ず1回通して見ますよね。2回目は必要なところだけを見ることができるので、時間をかけずに見たいところだけ見れ、しかも視覚的に覚えられるので記憶に残りやすいという特徴があります。
④単元ごとに映像授業・文章説明を使いわけ
要点にはすべて映像授業がついていますが、練習問題には映像解説が「あるもの」と「ないもの」があります。
「全部あった方が視覚的に捉えられていいのになぁ…」と思ってしまいそうですが、Z会によると、映像授業があった方が効果的な場合と、文章を読んだ方が理解できる場合とがあるそうです。
確かに、映像授業の方が頭に入りやすい一方で、文を読まなくて済むためサラッと理解しがち。自分の目で文字を追って理解したり、図を読み解くことの方が効果的な場合もあります。どちらが効率的なのかを考慮して作られているのが中学受験コースです。
⑤入試問題制作者との強いコネクション
Z会はもともと大学受験指導からはじまっており、実際に入試問題を作成している先生方と強いコネクションがあります。
例えば、最近の中学受験は難化傾向にあり、文部科学省が学校側に対し「学校の教科書範囲で入試問題を作成して欲しい」という話をしているそうです。それについてどう考えるか先生方に尋ねたところ、「それだと差がつかないので範囲外のものを出している」との回答があったのだとか。
では、効率的に学習するためにZ会はどうするのか?
それを考えに考えて教材作成をしているのがZ会と言えます。
Z会が考える、4年生のうちにすべきこと
5年生になったら「本格的な」受験勉強がはじまる…と言いますが、本格的って何を指すのでしょうか?
中学受験の場合、3・4年生では「基本的知識・基本解法」を身につけます。5年生になると、それらの基礎知識・解法を使って「実際の入試に直結する学習」をするようになります。そのため、5年生から本格的…という枕詞が使われるようになります。
では、4年生のうちに何を身につけておいたらいいかというと…??
☝4年生で身につけること
- 時間の使い方
- 学習習慣
- 復習習慣
- 試行錯誤する力
の定着です。
「あれ?あたり前のことだよね」と思われるかもしれませんが、これは通塾している子どもも身につけて置くべき受験の基本中の基本。4年生と5年生では学習の難易度・勉強時間が変わるので、変化への対応をスムーズにするためにも、この3つは4年生のうちに身につけておく必要があります。
①時間の使い方
Z会中学受験コースの場合、4年生で4科目受講をしているお子さんの学習時間は1日約1時間(※1カ月25日学習した場合)で、5年生では約2時間に増えます。
3・4年生での質問で多いのは「やってもやっても終わりません。どうしたらいいですか?」というもの。4年生のうちに時間の使い方を身につけておかないと、5年生になって苦労することに。
親は「1つの問題に時間をかけてやったら力がつくのではないか」と考えがちですが、1問につき10分かかって解けなかったら解答を見るように促す。しっかり考えたと思ったら解答を見て、解き直したときに解ければOKと考える。そういった思いっきりの良さも必要になります。
②学習習慣
これは塾で言うところのスケジュール管理。
Z会中学受験コースでは、「タブレット内のカレンダーを使いこなす」ことが出来るようにしておきます。自分で学習スケジュールを立てる。スケジュール通りに実行できなかった場合に、予備の時間に学習するなどの学習習慣をつけさせる。できなかったらどうする?どう立て直す?
勉強に飽きてしまった場合にも「どう立て直すのか?」を子供に考えさせておくと効果的です。親はあくまでのサポートに徹し、子どもに考えさせる習慣をつけておきましょう。
③復習をする
覚えたものは忘れるものです。子どもはまだ成長過程にあるので「忘れて当たり前」だということを肝に銘じ、子どもが自分で復習できる環境・習慣作りに努めます。
ここで大切になるのは、親が意識的に褒めることです。
中学受験をしていると、趣味に費やす時間を削って勉強したり、一生懸命努力しても結果がすぐに現れなかったり…と、子どもにとっては試練が続きます。日頃の学習では、子どもの気持ちが前向きになるよう配慮して上げながら復習を促すようにすると効果的です。
④試行錯誤する力
12月・1月の4年生が特にやっておきたいこと、それは「試行錯誤」をすることです。
5年生になると、とにかく時間がなくなります。小学校でも忙しいですし、Z会の学習時間も増える。試行錯誤を十分行えるのは4年生までといっても過言ではありません。
問題を解いていると、ついつい正解への近道を探してしまったり、つまづいている子供に解法を教えたくなるかもしれません。ですが、できる限り試行錯誤させてあげることが大切です。1問につき10分までなどと時間を決めて、4年生のうちにアレコレする力をつけておきましょう。
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Z会中学受験コース4年生と5年生で変わること
3・4年生は基礎固めの期間で、5年生から本格的な受験対策に入ります。4年生までの良いところはそのままに、5年生では受験に対応できる力を養うための学習が登場します。
☝4年生と変わらないところ
- 要点には必ず映像授業がつく
- タブレットのドリル演習
- パターン化された解法を反射的にアウトプットする練習(ドリル演習・月1回の学習イベントなど)
4年生の大まかな内容は、別の記事にまとめてありますので以下を参考にしてください。
☝4年生と変わるところ
- 手を動かして取り組んで欲しいものは紙の教材(漢字・言葉、計算)
- 理科・社会も重視し、添削問題は月2回。
- 「Z会からの挑戦状」という難易度の高い問題を提供。(2つの解法を組み合わせて解く問題が標準だが、これは3つ以上の解法を使って解く問題。全員に教材は提供するので、個別に判断して学習する。)
4年生までは計算練習ブックがもらえましたが、5年生からは計算練習ブック・「漢字・言葉練習ブック」の2つを学習します。一見、タブレットでもできそうに思いますが、中学受験本番は「紙」です。実際に手を動かして取り組むことにより習熟度がアップするため、あえて紙の教材を用意しています。
そして、理科・社会の1カ月に学習する時間が、5年生コースは約2倍の9時間になります。要点・練習問題の学習時間・回数も増え、ドリル練習は15分×4回から10分×8回になります。
これは、昔よりも理科・社会の比重が高くなってきているためです。難関校では理科・社会の受験者平均点と合格平均点の差が1桁台であることが多く、少しのミスが命取りになることがあります。よって、てんさく問題も月2回に増えます。
Z会中学受験コース5年生の「算数」
入試は「算数」が勝負です。
Z会の先生によると、算数の解法で中学受験の範囲とされるのは約300もあるのだそうです。
すべて網羅すれば満点に近づきますが、学校も忙しいし、十分な睡眠時間も取らなければいけない小学生がすべてを習得するのは困難です。とはいえ、中学入試は制限時間に対して問題数が多いので、短時間で問題を解くには解法を知っておくことも重要です。
そこで、Z中学受験コース5年生では必要な解法を徹底分析して習得できる教材を開発。合格するための解法をしっかり身につけ、効率のよい学習をおこなっていきます。また、入試で必要となる複雑な計算に対応するための正確性も同時に身につけます。
ちなみに、男子校トップクラスである開成の算数テストは85点満点。受験者平均と合格者平均の差は13点だそうです。理科・社会などは1桁台(3・4点)なので、算数が合格の鍵になることは間違いありません。
では、Z会中学受験コース5年生はどんな学習をするのかというと…
☝5年生算数の特徴は?
- 要点では例題を解いて完全理解を目指す。
- タブレットドリルで瞬発力補養成。解法を自分のものにする。
- 紙のドリルでアウトプット。解法を書いて自分のものにする。
- 練習問題で道具の使い方を完全マスターする。すべてに解説映像、文章での説明も充実している。
- 練習問題は前からやさしい問題。後ろになれば難しくなる。
- 6年生前半まではインプットをして欲しいので、解けなければ解答を見てOK。解法をインプットすることも大切。
です。
Z会中学受験コース5年生の「国語」
ついつい読解問題に目が行きますが、中学受験では「語彙力・知識」の問題が数多く出題されています。男子校トップクラスでは全体に対して1割~2割が語彙力・知識力があれば解ける問題。女子校でも3割でているところもあります。
ここでいかに点数を取るかが大切ですね!
そして、読解問題では記述問題の配点が高いため、Z会でもくり返し学習をします。
記述問題は苦手な人と得意な人とで点数が開きやすいもの。その差はこんなところから生まれているそうです。
- 苦手な人:自分の気持ちで解く
- 普通の人:筆者や登場人物の気持ちで解く
- 得意な人:出題者の気持ちで解く。
国語は問題文の中に書いて欲しいキーワードがある唯一の教科といっても過言ではありません。解答欄のスペースから出題者が書いて欲しい分量を読み取るなど、効率よく点数を重ねられるよう訓練していきます。
☝5年生国語の特徴は?
- 練習問題では必ず記述問題を出題(毎月慣れる。答え合わせの仕方も説明=出題者の意図=これを習得しよう!)
- タブレットで語彙力を鍛える=繰り返し学習
Z会中学受験コース5年生の「理科」
受験者平均と合格者平均の差が小さいのが、理科・社会です。言いかえれば、少しの努力で差がつけられる科目なので、疎かにはできません。強みにも弱点にもなる科目です。
Z会の先生曰く、生物(植物や動物)・地学の範囲が広いからたくさん暗記をしなくてはいけない…というのは誤解だそうです。算数ほど解法が体系化されていないため、暗記する分量が多くなりがちですが、暗記すべきポイントは決まっています。それを学習するのがZ会の理科です。
☝5年生理科の特徴は?
- 超スーパースパイラル
- 4年生は教科書レベル(6年生までの範囲~入試基礎範囲)、5年生→6年生前半は教科書から学習し、入試応用問題に挑戦する。
- 要点では暗記事項に絞る。消去法を含め入試で必須事項のみ。タブレットドリルで知識の定着。
- 要点では中高知識は簡略化にして扱う。入試に出る問題として対応。
Z会中学受験コース5年生の「社会」
理科と同じく、受験者平均と合格者平均の差が小さいのが社会。
差がつくのは「記述問題」です。Z会中学受験コースでは、早い時期から第3者の添削を受けることによって記述力をアップ。てんさく問題は「文章記述問題を中心とした構成」で月2回あります。
☝5年生社会の特徴は?
- 要点では重箱の隅をつつくような知識問題は削除し、タブレットドリルで知識定着。
- 記述問題は月2回の添削問題で対応。
- 地理・歴史・公民は丸暗記する量が多いだけでなく、知識を紐づけて説明する問題が出る。多角的視点で記述できるよう指導。
例えば歴史は、年号を答えるような問題だけでなく、歴史上の出来事について説明を求める問題も出ます。ただ単に丸暗記するのではなく、年号や出来事など、いろいろな角度から考えて置くことが重要です。
到達度テストの好成績者は「名人」の称号
Z会のいわゆる全国模試「到達度テスト」で優秀な成績をあげると「名人」の称号が与えられ、5年生の2月号から教材が多く見れたり、なにか良いことがあるそうです。
この「名人」称号を持つ受講生は全体の10~15%前後。
名人の子ども達には、以下の2点が共通しているのだそうです。
- 定期面談をしっかりてい出している→全体は61%、名人は83%
- 教材に最後まで取り組んでいる(全体の何%の教材を終わらせているか:全体約68%、名人約90%)
定期面談でわからないことは相談して、教材は最後までしっかりと取り組む。すべて終わらなければ要点だけでもいいので進め、空き時間に取り組むなどの計画性があるお子さんが、テストで優秀な成績をあげられているのですね!
☟参考(3年生の到達度テスト)
ぜひ、参考にしてください。