
サピックスの7月組分けは、夏期講習の新コースを決定する大事なテストであり、4年生にとっては初めての4科目受験(国語・算数・理科・社会)の組分けテストになります。
約3ヵ月前の「3月組分けテスト(国語・算数のみ)」と違い、理科・社会が増えるので、どんなテストなのか不安に思う方も多いのではないでしょうか?
このページは、7月組み分けテストの概要と出題傾向、そして対策方法や感想などをご紹介します。
詳細は2020年度のテストを基にしていますが、大幅なカリキュラム変更が行われない限りは似た傾向になると思います。あくまでも個人の感想ですが、参考にしてくださいね!
サピックスの組分けテスト=学習能力識別テスト
サピックスの組み分けテストは、無制限のコース昇降があるテストです。全学年共通で年3回(1月・3月・7月)に実施され、受験科目の合計点で次期コースが決定します。
各コースは最大20名で、コース数は校舎の規模によって異なります。大規模校舎であれば10以上のコースアップも可能なテストになるため、サピックス生であれば誰しも意識してしまうテストです。
組み分けテストと聞くと「成績によるコース分け」に目がいってしまいますが、サピックスの組み分けテストは子どもの学習能力を識別する要素が含まれていることが最大の特徴と言えます。
日々の学習がどのくらい定着しているかは、組み分けテスト以外の「復習テスト」や「マンスリーテスト」で実施しています。組み分けテストは、そこでは判断できない子供の発達状態・学習能力の発達状態を調べ、それぞれの子どもに合った指導ができるコースに振り分けることが目的です。
そのため、復習・マンスリーテストと違い制限時間が短くなるので注意してください。通常は国語・算数各50分、理科・社会各30分ですが、組み分けテストは国語・算数各40分、理科・社会各25分になります。
50分あれば解ききれるけれど、10分短いために解き残しがでてしまう…。意識的に時間配分を考えたり、自分の得意・不得意に合わせて優先順位をつけて問題を解かないと時間が明らかに足りなくなり、焦ってケアレスミスが多くなるのが組分けテストです。
また、テスト範囲はなし、コースを分けることを前提とした基礎・応用・応用(思考力系)で構成されます。
4年生では3年生までに学習した漢字の読み・書きが出題されたり、つい2週間前に学習した内容がでたり…と様々なので、対策はできないこともありませんが、付け焼刃で学習をしても得点が伸びるといった代物でないことは確かです。
4年生7月の組分けの概要
息子が受験した2020年7月度のテストについて、概要をご紹介します。
- 【実施日】7/5(日)9:00~11:30
- 【教科・時間】国語40分、算数40分、理科25分、社会25分
- 【試験会場】各校舎
- 【採点前答案マイページ掲載】7/6
- 【採点後答案・得点・偏差値掲載】7/10
- 【夏期講習からの新コース発表】7/15
最大のポイントは初めて4科目受験になるということです。
それまでの組分けでは国語・算数2科の合計点でコースが割り振られていましたが、今回は4科の合計得点でコースが決定するため、理科・社会の得点によっては一発逆転が可能になります。
また、1年生からサピックスに在籍する生徒でも理科・社会の組み分けテストは初めての受験になるため、新4年生(3年生2月)から入室した生徒にとっては大幅なコースアップの可能性を秘めたテストとも言えそうですね!
平均点は年によって異なりますが、4年生の平均は250点~280点くらいが多いようです。
2020年度の4科目平均点は257.8点(正答率 約51.6%)でした。国語の平均正答率は56%、算数51%、理科51%、社会46%です。
この成績によって、夏期講習のコースが決定します。
なお、7月組み分けテストは入室テストを兼ねています。
入室テストとは、サピックスへの入塾を希望する外部生(=サピックスではない小学生)が受けるテストのことです。一般的に塾に入ることを「入塾」と言いますが、サピックスでは「入室」と言います。
1年生~新4年生スタート(3年生2月)までの入室テストは国語・算数の2科目、それ以降は国語・算数・理科・社会の4科目受験になり、合計点がサピックスの基準点を超えれば入室することができます。内部生のテスト結果と照らし合わせ、合計点によりコース分けが行われます。
外部生にとって初めての組分けテストは難易度が高いはずです。特に塾通いの経験がないお子さんは、国語の文章量、算数の難易度、理科・社会の問題構成に四苦八苦するかもしれません。他塾に通っているお子さんでも、特に国語の記述はやっかいな存在のようです。
入室テストは、内部生の組分けテスト時間とは別で実施されます。午前・午後の2回行われ、事前説明や30分の体験授業などが含まれるため、開始・終了時間は校舎によって異なりますのでご注意下さい。

4年7月の組み分けテストの対策は可能?
復習テストとマンスリーテストは範囲がありますが、組み分けテストは範囲がありません。しかし、実際にテストを受けてみると、各科目のよって出題に傾向があることが分かりました。
ここでは、2020年度の7月組み分けテストの出題傾向から、どのような対策が可能なのかを検証していきます。
国語の出題傾向・対策
2020年7月の組分けテストの構成です。
【制限時間40分】
- 漢字の読み書き 10問(20点分)
- 知識総合(20点分)
- 説明文の読解:記述1問(54点)
- 物語文の読解:記述1問(56点)
構成は6月マンスリーテストとほぼ同じだったものの、制限時間が10分短くなったことで難易度がアップしました。
また、3月の組分けテストは漢字・語彙・物語文の3構成(40分)で説明文がなかったため、組分けで説明文と物語文の2つを解くのは初めてになります。
国語が非常に得意なお子さんは問題ないかもしれませんが、初めて入室テストを受験する場合や、内部生でも偏差値60以下の場合は、時間配分やどの問題に時間をかけ何を捨てるかを判断すること必要な場合もあります。
すべて答えようとすると焦って頭が回らない…ということにもなり兼ねないので、全部答えられなくても焦らない気持ちの強さ、冷静さも必要かもしれません。
では、各単元に掘り下げていきましょう。
【漢字学習】の対策
漢字は20点満点(1問2点)で、3年生までに習う漢字が出題されました。
漢字1つ1つは簡単ですが、熟語にすると読みづらかったりするものや、正しく形を覚えていないと間違うもの、送り仮名のミスをしやすい漢字が出題され、平均点は12.8点と低くなっています。
漢字1文字の形だけでなく、漢字がもつ意味や熟語構成などまで気を配って学習する必要性があります。
- 3年生までの漢字を復習。(4年生の漢字が出題されないわけではないので注意)
- 日頃からトメ、ハネ、ハライが正しくできているか確認
- 学校の漢字ドリルやテストを疎かにしない。
- 漢字の意味と熟語にも注目する。
おススメは、サピックス小学部が販売している漢字学習字典『サピかん』の活用です。
今回のの組分けテストにおいては、サピ漢で紹介されている例文から100%出題されていました。正答率が一番低かった「命名(めいめい)」も掲載されており、筆順・漢字の意味・受験生として覚えておきたい例文がわかりやすくまとまっています。
サピックスの国語科の先生もおっしゃっていましたが、漢字力をつけるには「漢字1つ1つの意味をしっかり理解すること」が重要です。
今回出題された「命名」も、問題文から「命につけた名前」だと理解できれば正解できます。「器官」「気管」などの使い分けが難しい熟語は漢字そのものが持つ意味を理解していれば間違いを減らすことができます。
【知識総合】の対策
知識問題は4年生で学習した「知の冒険」と「言葉ナビ」からの出題でした。
「知の冒険」は国語Aのサピックステキストで6回に1回学習する文法です。言葉の成り立ちや主語・述語・修飾語の関係など、国語の基本知識を学習します。今回は熟語の組み立て・主語と述語の判別・品詞理解が問われました。
「言葉ナビ」はことわざ・三字熟語・四字熟語・類義語・対義語などの語彙集です。サピックス生限定の教材で市販されていません。毎週の授業前に範囲アリのテストがあります。
知識総合は日頃の学習をいかに丁寧に行っているかが肝になりそうです。
- 国語A「知の冒険」や言葉ナビをきちんと学習。
- ただ暗記するのではなく、日常会話に取り入れたり、他の問題と関連付けて覚えることが大切。
サピックスは超スパイラル学習のカリキュラムなので、4年で学習した文法は5年でも応用編として再学習します。上位コースの先生は覚えてい前提で進めることがあるので、きちんと学習しておきましょう。
【説明文・物語文】の対策
説明文は「外来生物」について、物語文は「友人」がテーマでした。
4年生のうちは子供が理解できない難しい文章は出題されませんが、誰もが読める文章であるため、論理的に読み解かけるか否かで点数に差がつきます。
ですから、テーマや文章を正確に読むための線・印をしっかりつけ、時間をかけず過ぎずに読み解く力が必要です。
また、説明文はさほど長くありませんが、物語文と合わせるとある程度のスピードが必要になります。説明文で時間を使い過ぎてしまうと、焦って物語文を読むことになり、高配点の記述問題を書く時間がなくなったり、選択肢で最後の選択をミスすることへ繋がりかねません。
- 【説明文の読解】
テーマ・各形式段落の意味など、説明文を読む上で重要となる「基本の読み方」を確認。テーマの見つけ方、接続詞の役割、「筆者の意見や説明」と「具体例」を分けて理解する練習をしておく。 - 【物語文の読解】
気持ちを表す言葉を押さえる(例:ありがとう→感謝する気持ち)。気持ちの変化を正確に追い、答えられるように国語Bの「内容を確認しよう」の練習を丁寧に行う。
算数の出題傾向・対策
算数も【制限時間40分】です。
- 計算問題(30点)
- 小問集合:基本問題(42点)
- 小問集合:応用問題(32点)
- 植木算・立体図形(20点)
- 数の性質:応用(26点)
算数は、3月の組み分けテスト以降、3月復習→4月マンスリー→6月マンスリーと制限時間50分のテストに慣れた後のテストになるため、7月は感覚的な難しさが増すようです。
算数の復習テストは、基本、サピックスの通常授業で使用している「デイリーサピックス」というテキストの数値替え・改訂問題が出題されます。1カ月の学習が身に付いているかを確認するためのテストなので、授業で出題された問題をしっかり理解し、問題を見たときに「どの解法を使って解く問題なのか」を判断することができれば高得点が狙えます。
一方のマンスリーテストは授業で学習した内容の基本・応用が出題されるため、基本の解法を身に付けるとともに、それを応用するところまで学びを深める必要があります。
さて、組み分けテストに話を戻しますが、今回は今まで学習した内容をいかに正確に、速く解くかが鍵になりました。
今回は150点中120点(8割)取れれば偏差値67、102点取れれば偏差値60でした。
【計算問題】の対策
基本ができていれば満点が取れる問題でした。しかし、出題された全5問のうち3問は正答率80%未満になっており、講評でも「残念な結果となりました」との一言が。
「計算の工夫」や「逆算」など、慣れていないと時間がかかってしまう問題もでるため、日々の計算トレーニングが必要不可欠です。
- サピックス生は「基礎力トレーニング」を毎日欠かさず行う。
- 外部生は計算問題集を使って計算トレーニングを行う。
- 「計算の工夫」の解き方を意識的に使うようにする。
- 逆算をマスターする。
【小問集合(基本)】の対策
2月から学習してきた各単元の基本問題が1題ずつ出題されました。復習テストはテキスト問題の数値を替えた問題が中心でしたが、組み分けテストは文章をガラリと変えた問題も出てきました。
どの問題も1文1文を丁寧に読み、どの解法を使えば良いのかしっかり考えれば解けるものなので、落ち着いて処理することが必要です。
- サピックス生はテキストの基本問題をしっかり理解(何を求められているのか・どうしてその解法を用いるのか)
- 外部生はサピックスのHPにて今までの学習範囲を確認し、基本知識を習得しておく。
【小問集合(応用)】の対策
応用問題ではあるものの、2月から学習してきた基本知識ができていれば解ける問題でした。ただし、テキストに出てきた問題を暗記するように解いていたり、新しい問題に挑戦すると時間がかかってしまうようなタイプのお子さんには難しかったと思われます。
- サピックス生はテキストの応用問題を解く時に、基本知識をどう使われているかを意識する。答えがあっていたからOKではなく、解説まで目を通して「問題の意図」を理解しておく。
- 外部生はサピックスのHPにて今までの学習範囲を確認し、基本知識を習得しておく。
- 焦らず、1文1文をしっかり押さえて解く。
【植木算・立体図形】の対策
3ページにわたる問題(※1ページは作業用図形)であったため、一目見て怖気づいてしまった人もいたかもしれません。
大問のナンバーが大きくなればなるほど「難しそうな」印象を与える文章題・図形問題が出てきますが、最初の問題(1)は基本問題であることが多いので、時間さえあれば得点することが可能です。
- 難しそうだからと言って焦らない。
- (1)は基本問題であることも多いので挑戦してみよう。
- 次の大問(1)の方が解きやすいこともある。
【数の性質(応用)】の対策
最後の大問ですが、今回は大問4「植木算・立体図形」よりも正答率は高く、(1)は基本問題で正答率は70%以上。大問3「小問集合(応用)」5問よりも高い結果となりました。問題の見た目に騙されないことが大切ですね。
- 最後の問題だからと言って、全てが難しいとは限らない。
- (1)は基本問題であることも多いので、臆せずに挑戦してみよう。
理科・社会は別ブログ「サトウさん家の中学受験日記」にまとめてありますので、そちらをご覧ください。