
「サピックスに入塾したけれど、どのようにテスト直しをして良いかがわからない」あるいは、「まだ低学年だけれど、4年生になったらどんな勉強をすれば良いのかしりたい」という方向けに、マンスリーテスト・復習テストのテスト直し・復習方法をご紹介します。
テスト直しは採点して復習すればよいだけのものかと言うと、そうではありません。特に中学受験は小学生が対象のため、親は学習サポートだけでなく「心の成長」にも注意して伴走する必要があります。
コース昇降のかかるテストは点数が気になるものですが、6年生の受験当日にピークを迎えて合格を手にするために、親と子どもの「テスト直し」のあり方について考えていければと思います。
なお、ご家庭によってやり方は様々です。また、校舎や先生によっておススメの方法がある場合がありますので、この記事を参考にしながら「わが家のテスト直し方法」を見つけていってください。
4年生のテスト直しは「訓練期」
学習内容が難化する5年生の夏までにはできるようにしておきたいのが、「子どもが自らテスト直し・復習をする姿勢」です。超難関校・難関校を狙う場合は特に、6年生までには自分で自分のことができるように習慣づける必要があります。
子ども達は6年生になると、大半の時間を塾で過ごすようになります。小テストの回数も増え、塾では成績順に着席し、志望校判定テストでは現実を突きつけられます。
そのため、家庭学習が中心である4・5年生は異なり、6年生からはできる限り塾で完結させ、弱点補強や過去問練習などを家庭で行うようにしないと、精神的にも身体的にも非常に大変です。
塾では授業に集中し、できる限り授業中に理解できるようにし、分からない問題は質問教室などを利用して先生に直接聞くようにするのが最適です。ここで親が関与をし過ぎると、本当は使わない方がよい解法を教えてしまったり、1つの問題に必要以上に時間をかけてしまうなど、限られた時間を無駄に使うことになりかねません。
もちろん、時には親子で一緒に考えることも有効です。しかし、基本は子どもが自分で自分の弱点を認識できるようになること。「どうしてこの問題が解けなかったのか」「なぜ解けないのか」「自分に不足しているのは何の学習か」を見極められるようにすることが大切です。
最終的には、子どもは1人で闘います。
同じ塾にいる仲間と切磋琢磨しながら、1人で自分に打ち勝つすべを6年生では身につけなければいけません。
よって、まだまだ幼い4年生でも、子どもの成長度合いを見極めながら徐々に親が手を放していき、テスト直しの大切さや重要性、そして6年生になって自立するための手助けをする必要があるのです。
では、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
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4年生のテスト直しには「3段階」ある
4年生のテスト直しには、3段階あります。
- 採点前答案の採点・復習(子ども主体)
- 採点後答案の確認(親主体)
- 日を空けてのやり直し(子ども主体)
1の「採点前答案の採点・復習」とは、テスト後にマイページに掲載される採点前答案を使い、子どもが自ら〇×をつけ、テストの理解度を受け止めること。そして、その復習です。採点前答案の採点については、次のカテゴリーで詳しくお話します。
2の「採点後答案の確認」は、子どもの弱点補強をするための確認です。サピックスの採点後答案には、必ず正答率が書かれています。子どもが間違えた問題が、サピックス生のほとんどが間違える正答率数パーセントの問題の場合はよいですが、80・90パーセントの問題を間違っていたら、早急に克服する必要があります。
子どもにとってはケアレスミスでも、実は根本が理解できていなかったり、四則演算で苦手な分野があったりするなど、修正に時間がかかる場合があります。その見極めは、4年生にはまだできません。子どもが書いた計算式や暗算を見て、子どもの弱点を洗い出すのは親の仕事です。
もちろん、子どもだけでできれば、それに越したことはありません!
そして3つ目は、「日を空けてからのやり直し」です。テストのやり直しは、「テストを受験したらできるだけ早くする」のが鉄則ですが、あやふやだった問題は時間が経つにつれ忘れることがあります。親子で復習に最適なタイミングを見つけ、忘れた頃にもう1度解き直してみましょう。
4年生の時は理解できなかった概念でも、5年生になったら成長してスラスラ解けるようになることも多分にあるため、子どもの学習理解度に合わせてどの問題まで復習するのかを決めることも大切です。
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採点前答案の採点は子どもにさせる
テストが終わって「採点前答案」がマイページに掲載されると、点数が気になりますよね。できれば親は一喜一憂せずにドーンッ!と構えていたいものですが、実際はそうもいきません…。
子どもが寝た後に、子どもが学校から帰ってくるまでにどうしても点数が知りたい!という場合、親が自己採点をしてしまうこともあるでしょう。でも、6年生になった時のことを考えると、たとえ我が子より先に点数を知っても、子どもには伝えず、本人に採点をさせるようにします。
これは、子ども自身が採点をすることによって、「正解した問題が本当に理解していたのか」「間違った問題はケアレスミスなのか、まったく分からなかったのか」を分類できるからです。
自己採点中に子どもが、
「えー!!なんで間違っているの」と言えば、自信をもって解答したのに間違っていたことが分かります。
「やった~。やっぱりこっちだったんだ」と言えば、悩んで解答したことが分かります。
黙ってどんどん×印を付けていったら、まったく分からなかったのか、もしくは出来なくて悔しいという気持ちの表れです。
親が子どもよりも先に採点を行って結果を子どもに見せてしまうと、このプロセスは生まれにくくなります。子どもに「どの問題が分かったのか〇△×をつけて」と直接指示することもできますが、親が採点した結果を伝えた後に行うと、子どもの脳は受け身の状態になります。子どもが自己採点を自分で行い、その上で〇△×をつければ、それは「子どもが自主的にテスト直しをするためのサポート」を親が行ったことになります。
これは、日々の問題直しでも言えることです。
間違ったことに対して「どうしてこんな問題が解けないの?」「えー、これ簡単じゃない」などの言葉はグッと飲み込んで、子どもに〇△×を使って理解度を表現させ、「最終的に〇になれば大丈夫!」というくらいの気持ちで親がいれば、子どもは非常に救われます。
☟テスト対策に
テスト直しの順番[教科別]
2科目だった3年生とは変わり、4年生からはテストが4科目になります。
本来は「受験してすぐに採点・テスト直し」が理想ですが、テストの点数が思ったより伸びない場合や多忙な時は、4教科の見直しをすぐ行うことは難しいですよね。
国語
- 採点前答案を使って子どもが採点。(漢字・記述問題もすべて)
- 解答・解説を使って漢字や知識問題を復習
- 読解問題の復習
- 採点後答案が返ってきたら、子どもが採点した漢字・記述問題について、点数のズレをチェック
- 〇だと思っていた漢字、記述問題の復習
国語の漢字・記述問題の採点はむずかしいので、ついつい親がやってしまいがちです。わが家でも最初は私が採点をしていました。しかし、漢字や記述問題を親が採点することは子どもが自ら弱点に気づくチャンスを奪っているようなものだと反省し、夏から子どもが採点するようにしています。
漢字は「きれいに書いたつもりだったのに、×になった」「得点できたと思ったのに、×になって自己採点した合計点が下がってしまった」という経験をすることによって、採点者に認められるような漢字を書く癖がついていきます。
記述は、正しく採点するには模範解答だけでなく解説まで読む必要があります。サピックスのテストの解答・解説においては、国語Bのように部分点の説明がありません。よって、きちんと点数が取れているかを知りたければ、必然的に解説を読むことになります。
子どもが解答だけを見て採点しようとしていたら、「解説も読んだ方が正しく採点できるよ」と声をかけてあげればOK。後日、採点済答案がマイページに掲載された時に、「え?もっと得点できたはずなのに」と、自分の記述採点の甘さに気づくかもしれません。
国語は習得に時間がかかる教科なので、子どもが自分で考え、修正していくプロセスを大切にする必要があります。
算数
- 採点前答案を使って子どもが自分で採点し、4種類――「完全に理解して正答した問題」「曖昧だが正答できた問題」「わかっていたけれどミスをしてしまった問題」「全くわからなかった問題」――に分ける。
- 「わかっていたけれどミスをしてしまった問題」の確認
- 「曖昧だが正答できた問題」の確認
- 「全くわからなかった問題」の確認(※レベルによる)
算数は1度にすべての問題の復習をしようとしないことが重要です。(※数問しか間違っていない場合を除きます。)最初に採点前答案を使って、間違えた問題の理解度チェックを行い、簡単に直せる問題から復習していきます。
算数に苦手意識がある場合や、想像以上にテスト結果が悪かった場合などはテスト直しが億劫になることもありますが、直しが済んだ問題は採点答案に○をつけて、合計点数をどんどんプラスしていきましょう。「あなたにはこれだけ解ける力がある」というメッセージになると共に、子どもも「丁寧に計算したり問題を読むことにより、点数があがる」ということに気がつくはずです。(徐々に、徐々に)
点数があまり芳しくない場合は、サピックス生の正答率が数パーセントの問題や、むずかしい応用問題などは気にせず、正答率が高かった問題や基礎問題の復習に力をいれます。
理科・社会
サピックスの理科(4年生)はテキストを十分理解していれば高得点が狙える多く、一方の社会はテキストを理解した上での応用問題が出題されるので難易度は高めです。
算数とは異なり、すべての問題の「解答・解説」を読みます。特に社会は解説を読むことで、どんな勉強をしていけば良いかの指針になります。
- 採点前答案を使って子どもが採点
- 解答・解説を使って間違った問題を復習(得意な分野から取りかかるとよい)
- 採点後答案
- 正答問題を含めたすべての問題の「解答・解説」を読み、+αの情報(応用力)をつける
ぜひ、ご家庭にあった「テスト直し・復習」方法探しの参考にしてください。